水と糖鎖、イオン

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杉田 有治
杉田理論生物科学研究室
准主任研究員
李 秀栄
杉田理論生物科学研究室
協力研究員
山口 芳樹
糖鎖構造生物学研究チーム
チームリーダー

糖鎖の水和構造

タンパク質に結合している糖鎖は、免疫系における応答や細胞接着、タンパク質の品質管理などの局面において重要な役割を果たしている事が知られています。しかし、その化学的不均一性や水中での構造柔軟性によりX線結晶構造解析やNMRなどを用いた構造解析は一般に困難でした。我々は、構造解析手法と連携して水分子を露に取り込んだ糖鎖および糖タンパク質の計算機シミュレーションを実行することにより、糖鎖のダイナミックな水和構造モデルを構築します。このような構造モデルが構築されることにより、例えば、癌細胞に特異的な糖鎖構造の高感度検出などの診断や治療に貢献することを目指します。

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イオンと水の相互作用

イオンと水の相互作用に関する研究は古くから行われており、また、神経細胞間の情報伝達などの生命現象を理解するために重要です。しかし、水中での水とイオンの微細な相互作用はまだまだ十分に理解されているとは言えません。我々は、生体内に多く存在するNa+, K+, Ca2+, Mg2+などの水溶液中での挙動に関する第一原理量子化学計算や分子動力学計算を行い、電荷移動や水和構造の解析を行います。