画像情報処理研究チーム, 光量子工学研究領域, 理化学研究所


外観検査アルゴリズムコンテスト2018の結果


ViEW2018ビジョン技術の実利用ワークショップでの表彰式・発表の様子

パシフィコ横浜にて2018年12月6日-7日に開催されたViEW 2018にて、細胞内観察画像の「細胞膜と核はどこにある?」(データ提供:今西 彩子 氏,寺井 健太 先生,松田 道行 先生, 京大)を対象とした外観検査アルゴリズムコンテスト2018 (135件エントリー)の結果発表・及び優秀賞・レゾナンスバイオ賞の表彰が行われました。本コンテストは,精密工学会 画像応用技術専門委員会が主催し,文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究 「共鳴誘導で革新するバイオイメージング (レゾナンスバイオ)」が共催して開催されたコンテストです。


本レゾナンスバイオ(大)賞は正解率上位のみの選考基準である(最)優秀賞とは異なり、レゾナンスバイオに有用であろうロバスト性を5種類の順位(アルコン委員会基準、各正答データの難易度を加味した順位:参加者全体の正解率の逆数で各データの点数を重み付けした順位、重み付け+参加者の全データに対する得点の分散で正解率を割った点数の順位、細胞核と細胞質それぞれの領域一致率により採点し、また、アルゴリズムが独創的であるかを提出された要旨を基に広島大の栗田先生及び中京大の輿水先生に審査して頂いた結果を基に選考をしております。画像応用技術専門委員会とレゾナンスバイオの受賞者が一致しましたが、それぞれ独立に審査しております。

レゾナンスバイオ大賞・賞受賞者の方々. 左から、 菅野氏 (ヴィスコ・テクノロジーズ),本多氏,堀田氏 (名城大学), 橋本氏 (みずほ情報総研)とデータ提供者の松田先生 


課題: 3次元画像から細胞質と細胞核の領域抽出「細胞膜と核はどこにある?」(データ提供:今西 彩子 氏,寺井 健太 先生,松田 道行 先生, 京大)

審査委員講評

  • 「菅野氏、ヴィスコ・テクノロジーズ」:境界が不明瞭な細胞質領域の所属を安定に決定するために,まず,自己組織化マップにより分類された特徴を利用して細胞核のエッジ点を絞り込み,円のハフ変換により細胞核を検出している.つぎに,検出された細胞核を出発点として細胞同士の競合を利用した領域拡張法により細胞領域を安定に特定している.深層学習が真盛りの中,対象画像の特性を十分に理解し,既存手法を組み合わせて高い性能を実現している点が高く評価できる.
  • 「本多氏ら、名城大学」: Log-Polar変換の中心位置が異なると出力画像が大きく変動するという特性を利用し,見えの変化の大きい学習画像を生成し,それをConvolutional Neural Networkの学習に利用することで安定な識別器を実現している.深層学習のための学習データの生成に独自の工夫を導入することで高い性能を実現している点が評価できる.
  • 「橋本氏ら、みずほ情報総研」:画像セグメンテーションで標準的な手法となりつつあるU-Netを利用して細胞および細胞核を検出し,モルフォロジー演算等の画像処理手法により,個々の細胞の分離とスライス間の対応付けを行っている.U-Netの学習では,正解データ存在領域マスクを用意し,部分的な正解データに対する学習を実現している.深層学習と従来手法を巧く組み合わせて高い性能を実現している点が評価できる.

  • 審査委員:
    • 栗田 多喜夫 (広島大学)
    • 輿水 大和 (中京大学, YYCソリューション)
    • 理研レゾナンスバイオ横田班: 横田 秀夫、吉澤 信、竹本 智子

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