Sirtuin阻害による急性前骨髄球性白血病細胞の分化誘導 | 組織・研究内容

CELL FATE

多方向かつ段階的に進行する細胞分化における運命決定メカニズムの解明究領域略称：細胞運命制御

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Sirtuin阻害による急性前骨髄球性白血病細胞の分化誘導

研究課題名
Sirtuin阻害による急性前骨髄球性白血病細胞の分化誘導

研究代表者: 小松　則夫
順天堂大学医学部内科学血液学講座・教授; 研究室HP｜E-mail

連携研究者: 荒木　真理人
順天堂大学医学研究科輸血幹細胞制御学・准教授; 研究室HP｜E-mail

連携研究者: 伊藤　昭博
独立行政法人理化学研究所吉田化学遺伝学研究室・専任研究員; 研究室HP｜E-mail

研究内容

　我々は、これまでに、急性前骨髄球性白血病(以下APL)のオールトランスレチノイン酸(以下 ATRA)による細胞死誘導にFOXO3Aの存在が必須であることを報告した。APLは90%以上の症例にt(15;17)染色体異常を有し、形成されたPML-RARαキメラ遺伝子がコードするPML-RARα融合タンパクはPMLやRARαに対するdominant negative変異体であり、PMLやRARαの機能を阻害することでアポトーシスの抑制および好中球系細胞の分化・成熟を阻害し、APLの発症に関与する。PML-RARαは ATRA結合ドメインを有し、薬理学的濃度のATRAに応答してPML-RARαがユビキチン化分解を受ける。その結果、PMLやRARαの機能が回復し、分化障害が解除され、APL細胞は好中球へと分化し、アポトーシスへと陥る。
　これまでに我々は、APL細胞では、①FOXO3Aは細胞質内にリン酸化された状態で存在すること、②ATRAを添加することにより、脱リン酸化され、核内へと移行すること、③続いて転写活性因子としての機能を発揮し、TRAIL、Bim、p27/Kip1などのアポトーシス関連分子の発現を介して、アポトーシスを誘導することを明らかにした。最近、ATRAによるFOXO3Aの活性化のメカニズムを解明するために、FOXOファミリー蛋白質の制御因子であるSirtuinファミリー蛋白質の、APL細胞の好中球分化における役割について解析を行なったが、Sirtuin阻害剤はATRA同様、APL細胞の好中球分化を誘導すること、RNA干渉法を用いたSIRT2の発現抑制が、APL細胞の好中球分化を誘導することを明らかにした。以上の結果はSIRT2がAPL細胞の好中球分化に関与していることを示唆している。しかし、予想に反して、SIRT2の活性阻害は、FOXO3Aの局在や活性制御に必要とされるアセチル化の亢進を誘導しなかった。このことはAPL細胞の好中球分化制御において、SIRT2はFOXO3A以外の別の基質蛋白質のアセチル化を制御している可能性がある。そこで本研究では、Sirtuin阻害による、白血病細胞の分化誘導の分子基盤を明らかにすることを目的とする。

主な論文

* correspondence

研究代表者

小松　則夫

Sunami Y, Araki M, Hironaka Y, Morishita S, Kobayashi M, Liew EL, Edahiro Y, Tsutsui M, Ohsaka A, and *Komatsu N.
Inhibition of the NAD-dependent protein deacetylase SIRT2 induces granulocytic differentiation in human leukemia cells
PLoS One. 8:e57633, 2013

Kanemitsu N, *Isobe Y, Masuda A, Momose S, Higashi M, Tamaru J, Sugimoto K, and Komatsu N.
Expression of Epstein-Barr virus-encoded proteins in extranodal NK/T-cell Lymphoma, nasal type (ENKL): differences in biologic and clinical behaviors of LMP1-positive and -negative ENKL.
Clin Cancer Res. 18: 2164-2172, 2012.

Sakoe Y, Sakoe K, Kirito K, Ozawa K, and *Komatsu N.
FOXO3A as a key molecule for all-trans retinoic acid-induced granulocytic differentiation and apoptosis in acute promyelocytic leukemia.
Blood. 115: 3787-3795, 2010

連携研究者

荒木　真理人

Araki M, Yu H, and *Asano M,
A novel motif governs APC-dependent degradation of Drosophila ORC1 in vivo.
Genes Dev. 19:2458-65, 2005

伊藤　昭博

Ishfaq M, Maeta K, Maeda S, Natsume T, *Ito A, and Yoshida M.
Acetylation regulates subcellular localization of eukaryotic translation initiation factor 5A (eIF5A).
FEBS Lett. 586: 3236-3241, 2012.

Fukuda I, *Ito A, Hirai G, Nishimura S, Kawasaki H, Saitoh H, Kimura K, Sodeoka M, and Yoshida M.
Ginkgolic acid inhibits protein SUMOylation by blocking formation of the E1-SUMO intermediate.
Chem. Biol. 16: 133-140, 2009.

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研究課題名 Sirtuin阻害による急性前骨髄球性白血病細胞の分化誘導

研究内容

主な論文

研究課題名
Sirtuin阻害による急性前骨髄球性白血病細胞の分化誘導