独立行政法人理化学研究所 基幹研究所 物質機能創成研究領域 交差相関物性科学研究グループ

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Research

交差相関物性科学研究グループ

交差相関物性科学研究グループ

交差相関とは、外部刺激(入力)と物性応答(出力)の関係が磁場-磁化、電場-分極のような自明の関係ではなく、電子の複数の自由度(電荷・スピン・軌道)に起因する非対角的な応答(磁場-分極、電場-磁化など)をさします。1電子近似が可能な半導体とは対極に位置する強相関物質では、多数の電子がお互いに強い影響を及ぼし、この電子集団は量子固体-液体-液晶の間を、磁気的、電気的、光学的な性質を大きく変えながら、超高速に相変態します。このような電子系において新しい交差相関機能を設計し、物質開拓を行って、デバイスコンセプトを創製します。

強相関太陽電池

キャリア増幅を用いた太陽電池の高効率化

従来型
赤い光を吸収できない 赤い光で発電できるが、
青い光での損失が増大
Solar Cell 1a Solar Cell 1b
新原理
逆オージェ過程による
キャリア増殖で損失削減
Solar Cell 1c

強相関酸化物ではキャリア増幅過程が存在することは確認できている

強相関太陽電池(提案)の原理

Solar Cell 2
強相関効果による自己増殖的な1光子吸収‐電荷整列崩壊過程 光誘起ナノスケール金属領域の生成 光誘起金属領域の縮小を伴った電子-正孔分離による多重キャリア生成過程

固体における散逸を伴わない電流の研究

固体中の電子は、量子力学的波動として振る舞うので、弾性球のようなイメージでは想像もできないような性質を示します。 その中でも、波動の位相、およびその干渉現象を利用した量子輸送現象の理論的、実験的研究を行っています。 強磁性体の異常ホール効果、金属や半導体でのスピンホール効果、強誘電体の分極電流、などがその例です。
これらの現象は、固体電子状態を特徴づける「ベリー位相」という概念が重要な役割を果たします。 このベリー位相が、カレントを駆動するわけです。 種々の物質系を設計することで、そのベリー位相の構造をも設計し、望みの輸送特性を得る研究を行っています。

固体における3種類のカレント

オーム電流
AHE 1a オームの法則に従って流れる電流
ジュール熱の発生を伴う
超伝導電流
AHE 1b 熱平衡状態でも流れる散逸を伴わない電流
転移温度以下の低温に限られる
トポロジカルカレント
AHE 1c 電子状態のトポロジー的性質によって駆動されるカレント
本質的に散逸を伴わず、室温でも可能
量子ホール効果、異常ホール効果、スピンホール効果などに現れる

AHE 2a
AHE 2b SrRuO3の第一原理電子状態計算で求められたベリー位相の運動量空間での分布上図に示す磁気単極子の構造を示している。

ベリー位相の構造を設計し、異常ホール効果の特性の制御に成功

EuTiO3
・キャリア電子の少ない磁性金属
・EuサイトのLa置換によって精密に電子数制御可能

理論計算
AHE 3
バンド交差近く(赤丸)でベリー位相に特異点が存在するため、異常ホール効果に符号変化などの特徴的な異常が予想される。

実験
理論計算で予想した電子密度付近で異常ホール効果の符号が反転することを見いだした。
この電子密度領域で磁性や他の物性は変わらないので、電子状態のトポロジー的性質によって発現している異常ホール効果を制御可能にしたと考えている。
AHE 4
Eu1-xLaxTiO3薄膜における異常ホール効果の
キャリア電子密度依存性