各事業所の一般公開

理化学研究所をもっと理解していただくために、
市民の皆さまとの交流を続けています。

 理研では、毎年、科学技術週間行事の一環として、各施設を一般に公開しています。広範囲にわたる研究内容を分かりやすく紹介するとともに、科学を身近なものとして親しんでいただける実験やイベントなどを開催し、科学に関心をもつ子どもたちや地域の皆さまに向けて幅広いアプローチをしています。

和光研究所

仁科加速器研究センターの体験型展示「ビー玉による核散乱実験」の様子
仁科加速器研究センターの体験型展示「ビー玉による核散乱実験」の様子

 前夜に降った雪が残る中、2010年度の一般公開は開催されました。100以上の研究室が体験型の展示や工夫を凝らしたパネルを使って、最先端の研究内容を紹介しました。
 講演会や工作教室など、どのイベントも多くの方にご参加いただきました。その中でも特に整理券を配布するイベントは、すぐに整理券が無くなるほどの盛況ぶりでした。また、顕微鏡を使って身近な生き物を見る展示をはじめ、電子顕微鏡を体験できるコーナーなど、普段は最先端の研究に用いている装置を使う展示は、小学生に大好評でした。
 日ごろ静かな研究所も、年に一度の一般公開の日は多くの家族連れでにぎわい、来場した皆さまに研究の一端に触れていただき、科学を身近に感じてもらいました。
 2010年度は8,110名の方が来場されました。

筑波研究所

日常では見ることのない細胞を真剣に観察
日常では見ることのない細胞を真剣に観察

 筑波研究所の一般公開では、2日間で2,395名の来場者がありました。工作や実験教室のほか、話題のiPS 細胞やES細胞を顕微鏡で観察していただきました。また、「ヒトに役立つマウスの話」(実験動物開発室:目加田和之 専任研究員)、「細胞が病気を治す」 (細胞材料開発室:中村幸夫 室長)、「微生物が地球を救う?」(微生物材料開発室:大熊盛也 室長)の3講演が行われました。現在進行中の研究成果の紹介や、様々な蛍光タンパク質を用いて「細胞」の中で起こっている様子を観察する「可視化」技術などの話に、来場者から研究者へ多くの質問や意見が投げかけられました。来場者の方々のたくさんの笑顔にあふれ、"科学をもっと身近に、もっと楽しく"感じていただける機会となりました。

播磨研究所

播磨研究所
ふだん見ることのない研究装置を見学

 「たんけん・発見、科学の最先端!」と題してSPring-8施設公開(一般公開)を行いました。大型放射光施設「SPring-8」をめぐるガイドツアー、X線自由電子レーザー(XFEL)施設を公開しました。XFELは2011年に供用開始予定で、施設内や様々な専門機器を見ながら、その活躍に思いを馳せていただきました。ほかに、「来て・見て・触って知ろう、光・電子・理化学研究所」と題し簡単な工作や電子と光のお話し、電子顕微鏡の体験、インフルエンザウイルスへの挑戦といった身近な話題を扱った講演会など、多くの人でにぎわいました。2010年度の一般公開には、4,218名の方が来場されました。

横浜研究所

横浜研究所
PSC 実験教室風景

 横浜研究所は、横浜市立大学大学院と合同で一般公開を開催しています。幅広い分野の研究を楽しんでいただくため、研究室・施設の公開、講演会や各種のイベントを行いました。
 公開施設の中で、目玉となるのがNMR(核磁気共鳴)施設です。タンパク質の立体構造と機能の解析を行う高性能NMR装置34台を備え、世界最大の集積台数を誇っています。DNAの個人差を調べるSNPタイピング施設や、生体分子シミュレーターなども人気の施設です。
 今回は、「世界最高峰の未来体験へ」をテーマとし、「アルコールに強い?それとも弱い?」、「実験!ブロッコリーからDNAを取り出そう」、「光る!ノーベル賞タンパク質を作ってみよう!」、「マウスの赤ちゃんが大きくなるスピードを自分の目で見よう」など、好奇心を刺激する体験型のイベントも多種多様に開催しました。
 また、新型インフルエンザの流行を振り返り、「インフルエンザへの挑戦」、「感染症は不意に現れる~新型インフルエンザから学んだこと」と題した講演も行いました。
 2010年度は、午前中の悪天候にもかかわらず過去最高の2,629名の方が来場され、研究者に質問しながら最先端の科学を楽しまれていました。

神戸研究所

神戸研究所
親子で工作☆サイエンス

 神戸研究所では、11月20日(土)に毎年恒例の一般公開を開催いたしました。天候にも恵まれ、過去最高の1,764名の方が来場されました。
 オープンラボで不思議そうに顕微鏡をのぞいている子どもたちや、「親子で工作☆サイエンス」で一生懸命工作にはげむ子どもたち、「君も科学者! 写真撮影会」で、白衣を着ての記念撮影に満面の笑みを浮かべる子どもたちなど、各イベントを楽しんでいただける姿をあちらこちらで拝見することができました。
 発生・再生科学総合研究センターの竹市雅俊グループディレクター(センター長兼)、分子イメージング科学研究センターの土居久志チームリーダーの講演会では、ほぼ満席となる盛況ぶりで、活発な質疑応答にみなさんの熱心さが伝わってきました。
 また、今年は計算科学研究機構との同時開催となりましたが、ラボツアーの申し込みに長蛇の列ができるなど、その注目度の高さに改めて驚かされました。

仙台支所

仙台支所
郵便物検査装置

 2010年度の仙台支所の一般公開は349名の方が訪れました。一般公開では、将来の私たちの生活や社会に役立つテラヘルツ光の可能性について、分かりやすく紹介するイベントを行いました。「郵便物検査装置」コーナーでは、テラヘルツ光を使って封筒を開けずに中身を検査する装置を公開しました。「テラヘルツ光の挑戦」と題した講演会では、レーザー開発の歴史とテラヘルツ光について分かりやすく解説しました。また、毎回人気の工作教室では、アルミ缶を使った綿あめ製造装置作りに挑戦、完成後は順番に綿あめ作りを楽しみました。

名古屋支所

名古屋支所
介護ロボットのRIBA(リーバ)

 名古屋支所は、日頃の研究内容を紹介するとともに、介護ロボットや研究開発現場も一般公開しました。最先端のロボット研究をしている名古屋支所では、各種ロボットたちが公開・展示の中心です。前回に引き続き目玉となったのは、61kgの人を抱き上げることができる介護ロボット「RIBA(リーバ)」の公開でした。また、研究者によるRIBA開発秘話についての講演会では、子どもたちも熱心に耳を傾けていました。
 その他、参加型イベントとして「筋肉で電車模型を操縦しよう!」では、子どもたちが筋電(腕の筋肉に力を入れることで生じる電気)により模型の電車を走らせようと必死にがんばっていたり、また、「ロボットとの早押しゲームで脳の不思議を体験しよう!」では、意識と感覚のズレに驚いたりしていました。当日は晴天にも恵まれ、多くの家族連れや子どもたちで大変賑わい、昨年度を大幅に上回る総勢927名の来場者に、一般公開の一日を楽しんでいただきました。