計算科学研究機構

平尾公彦

計算科学研究機構
機構長 平尾公彦

事業所の環境方針

緑多きキャンパス
緑多きキャンパス

 計算科学研究機構は、世界トップクラスの計算速度を持つ「京速コンピュータ"京"」(開発途中ながら平成23年6月にスパコンの性能ランキングTOP500で世界一位を獲得)を運用、活用する機関として平成22年7月に発足したばかりの事業所です。高性能のコンピュータは科学・技術を発展させるためになくてはならないものになっていますが、性能の向上と共にその消費電力も指数関数的に上昇しているのが現実です。研究といえども無尽蔵にエネルギーを消費するわけにはいきません。"京"は高性能であるだけでなく、省エネルギー、省電力にも最大限配慮したシステムとして、設計、構築しています。

研究と環境貢献

屋上緑化
屋上緑化

 富士通で開発された消費電力あたりの演算速度で世界最高水準を持つCPU「SPARC64 VIIIfx」の採用、CPUなど高発熱部品を冷却水で直接冷やすことにより安定性と低消費電力を実現したシステムボードの開発などにより、世界のスーパーコンピュータの電力効率を競うランキングであるGreen500で世界4位を獲得しました(平成22年11月)。
 "京"を収容する建物、設備も徹底的に省エネ、環境保全にこだわったものになっています。大規模なコジェネレーションシステムを導入し、発電後の排気から熱回収を行い、スパコンを冷却する冷水を製造します。天然ガスを燃料としたコジェネレーションシステムの熱効率は75%にも及び、電気事業者の火力発電所の平均熱効率38%を大きく上回るものです。構内で発電した分、電気事業者の火力発電所の出力を低下させることができますので、地域全体のCO2削減に貢献することができます。その他、太陽光発電設備の設置、雨水のトイレ洗浄水や植栽散水へ利用、LED照明など高効率照明の採用、床吹出し方式により必要な部分だけを空調する局所空調、春・秋には自然換気を利用したゼロエネルギー空調、外壁にダブルスキン方式を採用し外壁からの熱負荷の低減などで、消費エネルギーとCO2排出量の低減を実現しています。また構内の緑化にも配慮し、埋立地で緑の少ないポートアイランドに潤いをもたらしています。屋上緑化、壁面緑化を施し、建物の断熱性を向上するとともに、研究者や市民のみなさまに安らぎを与えたいと考えています。
 今後"京"を使って、地球温暖化問題など環境保護のための研究も大きく進展することでしょう。研究面での社会貢献は当然として、環境面でも地域社会に貢献し、神戸市民の皆様に親しまれる事業所でありたいと願っています。