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金属開孔アレイを用いた表面プラズモンセンサの高感度化 (Takahiro Suzuki)
テラヘルツ領域で微量物質の高感度センシングを行うことができる誘電率センサの開発

■背景
 近年、テラヘルツ波を用いた生体高分子などのラベルフリーセンシングに関する研究が多く報告されている1)〜3)。その理由は、生体高分子の高次構造の形成に起因する吸収がテラヘルツ帯に存在するためで、その変化を検出することで蛍光や放射性同位元素等の標識を用いることなくDNAのハイタブリゼーションや抗原抗体反応などをセンシングすることができる。 この技術は、従来の方法に比べ簡便で安価であり非常に有益な技術であるが、現状では検出感度が不十分であるのが実状である。そこで、微量な物質でも誘電率の変化を高感度に検出可能な方法が求められており、その方法の1つに金属開口アレイ(MHA)を用いた表面プラズモンセンサが報告されている4)。
 本研究では、テラヘルツ領域において微量物質の誘電率変化を検出可能な、高感度センサを開発することを目的とする。具体的には、MHA構造及び測定方法を工夫することで、どれほど高感度化が可能かを調べる。また、このセンサを用いたイメージングも行う。


■MHAを用いた表面プラズモンセンサ
 近年、MHAにおける光の異常透過現象についての研究が活発に行われている5),6)。これは、入射電磁波と周期構造を持った金属表面上の表面プラズモンポラリトン(表面波)が共鳴結合することにより、透過スペクトルに異常透過ピークが現れる現象である。ここで表面波とは、金属表面に局在する電磁波と分極波が交互に現れる波のことである。金属表面が均一である場合は、表面波の分散カーブが真空の電磁波カーブとは交差しないため、外部からの入射波は表面を励起できない。しかし、金属表面に周期構造を作ることで、表面波の分散カーブは折り返され電磁波の分散カーブと交差し、入射波は表面波を励起できるようになる。
 また、この現象は金属表面に付着する物質の誘電率から強く影響を受ける。すなはち、MHA表面に測定対象となる試料を貼り付けると、金属表面上の誘電率の違いにより透過スペクトルが変化する。この異常透過ピークの変化(ex.周波数、強度etc.)を観測することによって微量な試料の分析が可能である4)。


■センサの高感度化
MHA構造及び測定方法を工夫することで、どれほど高感度化が可能かを調べる。
 ●MHA構造の工夫
  ・2枚積層型MHA
   →2枚MHAの間隔や横ずれ等を変えることで、異なる特性を持つことが報告されており、これにより高感度化を期待している7)。
 ●測定方法の工夫と
  ・偏光測定
   →MHAをTHz波の入射面から傾けると、透過したTHz波の偏光成分が変化することが報告されており、
    これをセンサに利用する8)。
  ・反射測定
   →THz波に対して不透過である試料表面に対応する。


■参考文献
1) M.Brucherseifer et al.: Appl. Phys., Vol. 77, No. 24, pp. 4049-4051, 2000.
2) M.nagle et al.: Appl. Phys., Vol. 80, No. 1, pp. 154-156, 2002.
3) S.P.Mickan et al.: Phys. Medi., Vol. 47, pp. 3789-3795, 2002.
4) F.miyamaru et al.: Opti. Lett., Vol. 31, No. 8, pp. 1118-1120, April 15, 2006.
5) T.W.Ebbesen et al.: Nature. , Vol. 391, pp. 667-669, 1998.
6) H.F.Ghaemi et al.: Phys. Revi. B, Vol. 58, No. 11, pp. 6779-6782, 1998.
7) F.miyamaru et al.: Phys. Revi. B, Vol. 71, 165408, April 7, 2005.
8) F.miyamaru et al.: Appl. Phys. Lett., Vol. 82, No. 16, pp. 2567-2570, April 21, 2003.


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