2013年9月1日
次世代型DMA(微分型電気移動度分析器)の開発
理研No. 07734
発明者
折井 孝彰、工藤 聡(ナノ粒子測定技術研究チーム)
背景
微分型電気移動度分析器(Differential Mobility Analyzer: DMA)は、気相中に浮遊するナノ粒子のサイズ選別装置として、材料開発、環境測定(PM2.5他)などの分野で利用されてきました。有機物成分などの多様な物質を含むナノ粒子が選別過程で蒸発する場合には、不正確なサイズ選別が行われる可能性があります。
概要
ナノ粒子のより高精度なサイズ選別を可能にするため、平行平板型の2層の分級層をタンデムに接続した構造をもつ次世代型DMA(Double-layer DMA:DLDMA)を考案しました。このDLDMAは3枚の電極により2層の分級層を構成するシンプルな構造です。1層目の分級過程でサイズが変わる粒子は第2層目で排除することができ、粒子の揮発性に起因する誤った粒径分布を与えることを防ぐことが可能になりました。
図:従来型DMA(左)と次世代型DMA(右)
利点
- タンデムDMAシステム、コンパクトな一体型のDMA
- 不安定なナノ粒子の検知能力が向上
- クラスター級ナノ粒子の効率の良い選別や高感度な分析が可能
- 中間の電極の位置を上下に移動するだけで分級が可能なサイズ領域を最適化できる
応用
- 気相中ナノ粒子(エアロゾル)またはコロイド粒子などのサイズ分布測定、サイズ選別
文献情報
- 1.特許第5652851号、US第8698076号、CN特許第ZL201110033972.7号
- 2.エアロゾル研究 Vol. 28,No.2,P.125-130,(2013).
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