2016年4月28日
配向増大型フォトリフラクティブポリマーの高速化に向けた駆動法
理研No. 08128
発明者
藤原 隆、佐々 高史(揺律機能研究チーム)
背景
画像情報を一括で処理できる演算素子のエンジンとしてフォトリフラクティブ(PR)ポリマーが注目されています。PRポリマーは、電荷の蓄積効果を基本として発現することからその高速駆動においては原理的な制限が存在しています。現在の性能では、応答速度は約10ms程度で、1ms以下の高速応答が実現できると、リアルタイム動画処理や3D表示素子への応用が期待できます。
概要
PRポリマーの駆動方法に着目し、高速駆動に成功しました。通常、PRポリマーには外部から電界を印加して利用します。高速駆動の1つの方法として高い電界を用いることも出来ますが、絶縁破壊や内部不純物による内部反電界の影響で、実効的な電界強度を上げることが困難でした。駆動電界を反転することで瞬間的な実効電界を増強し、高速な応答を実現することに成功しました。
図1:動作原理
図2:実施例-高速化(シグナル増強)
利点
- 従来のPRポリマーへ適用
- 電界重畳効果により高速化が可能
- 配向増大型PRポリマーで困難とされている「メモリ性」の付与
応用
- 距離計測・振動計測の実現
- 差分増幅素子の実現
- 実時間データ処理エンジンの実現
- リアルタイム画像演算機、光断層写真撮影の実現
文献情報
- 1.特許第6202300号
- 2.T. Sassa et al., Opt. Mater. Express 3 (2013) 473.
- 3.T. Fujihara et al., J. Appl. Phys. 115 (2014) 023109.
- 4.S. Tsujimura et al., Org. Electron. 15 (2014) 3471.
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