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2016年5月23日

インドシアニングリーンに代表される生体イメージング用近赤外色素の蛍光増強および安定化技術

理研No. 08381

発明者

神 隆(ナノバイオプローブ研究チーム)

背景

従来は、近赤外蛍光色素の蛍光および安定化を増強するためにリポソームやポリマーからなるナノ粒子に蛍光色素を封入する方法などが用いられていますが、化合物の製造にコストがかかる、リポソームあるいはナノ粒子の調整に時間がかかる、リポソームあるいはナノ粒子のサイズが大きくなる(腎クリアランスしにくい)などの問題がありました。

概要

生体蛍光イメージングでは、インドシアニングリーン(ICG)などの近赤外発光有機色素が蛍光プローブとして用いられますが、これら近赤外色素では一般に共役系が長くなるため疎水性が増大し水への溶解性(安定性)が低下します。同時に水溶液中での蛍光輝度が著しく低下する傾向があります。本発明は、分子量の小さなカリックスアレーンのミセルを用いることにより、ICGに代表される近赤外蛍光有機色素の水中での蛍光および安定性を増強し、高感度な生体蛍光イメージングを実現します。

ICGのカリックスアレーンミセルへの取り込みの図

図1:ICGのカリックスアレーンミセルへの取り込み

本技術によるICGの蛍光輝度の改善の画像

図2:本技術によるICGの蛍光輝度の改善

マウスでの乳がん腫瘍の近赤外蛍光イメージングの画像

図3:マウスでの乳がん腫瘍の近赤外蛍光イメージング

利点

  • 近赤外蛍光色素の発光輝度の著しい改善(200%以上)
  • 近赤外蛍光色素の安定性の著しい改善(水中で1ヶ月以上安定)
  • 蛍光増強、安定化剤は大量合成が容易で細胞毒性がない

応用

  • 近赤外蛍光色素水溶液の安定化、長期保存
  • 近赤外蛍光色素を用いた細胞イメージング
  • 近赤外蛍光色素を用いた生体蛍光イメージング

文献情報

  • 1.特願2017-508409
  • 2.Takashi Jin, Setsuko Tsuboi, Akihito Komatsuzaki, Yukio Imamura, Yoshinori Murakami, Takao Sakata and Hidehiro Yasuda, ”Enhancement of aqueous stability and fluorescence brightness of indocyanine green using small calix[4]arene micelles for near-infrared fluorescence imaging”, Med. Chem. Commun., 7, 623-631, 2016.

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