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2017年11月2日

再利用可能で汚れに強い電子線バイプリズム

理研No. 08461

発明者

原田 研、嶌田 恵子、新津 甲大(創発現象観測技術研究チーム)

背景

バイプリズムは、電子線ホログラフィーに不可欠な装置です。太さ0.3μmのガラス線に金属をコーティングしたフィラメント電極を電子ビーム中央に設置し、電圧をかけて使用します。極細のフィラメント電極は、常に電子ビームにさらされ、生じた静電気力にひきつけられた真空中の残存ガス等に汚染されます。このコンタミネーションは、ホログラフィーにとっては致命的なノイズの原因となるため、これを避けるには「汚れたら交換」が唯一の対処法でした。

概要

回転型電子線バイプリズムのフィラメントホルダーを二電極構造とし、一方の電極にホルダー本体へ結線(接地)される回転角度を設けることで、フィラメント電極への通電を可能とします。また、金属フィラメントを採用することにより、フィラメントが通電加熱され、使用中に付着したコンタミネーションが除去、フィラメントは清浄化されます。これにより、フィラメント電極の「使い捨て」ではなく、「繰り返し使用」が可能となります。

従来の回転型電子線バイプリズムの図

図1:従来の回転型電子線バイプリズム

本技術の二電極回転型電子線バイプリズムの図

図2:本願の二電極回転型電子線バイプリズム

白金フィラメント電極の走査電子顕微鏡像と二電極回転型電子線バイプリズムの立体図の画像

図3:(a)白金フィラメント電極の走査電子顕微鏡像、(b)二電極回転型電子線バイプリズムの立体図

利点

  • フィラメント電極に付着した汚れを除去して再利用可能
  • 回転型電子線バイプリズムに対応可能
  • バイプリズムの回転機能は保持

応用

  • フィラメント電極の再生利用による耐用期間(寿命)の延長
  • 回転型電子線バイプリズムであれば、現有のものへ換装が可能

文献情報

  • 1.特願2015-251027

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