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2013年2月26日

第2回先端社会シンポジウム 「細胞を利用した次世代医薬品が広げるイノベーションの可能性」開催レポート

2月8日(金)、東京国際フォーラム・ホールD7(東京・有楽町)で第2回目となる先端社会シンポジウム「科学が紡ぐ未来-細胞を利用した次世代医薬品が広げるイノベーションの可能性-」を開催しました。
本シンポジウムは、理研の先端的な研究成果の有用性と社会的意義について広く理解が得られるよう努めるとともに、社会全体が先端技術の実用化に取り組む風土を醸成することを目的としています。第2回目は「細胞を利用した次世代医薬品が広げるイノベーションの可能性」がテーマです。

理研免疫・アレルギー科学総合研究センター 藤井眞一郎ユニットリーダー
パネルディスカッション

まず初めに、理研創薬・医療技術基盤プログラムの松山晃文プロジェクトリーダーが、細胞性医薬品の概観と国内・海外で進められている開発動向を紹介しました。松山プロジェクトリーダー自身も心疾患の治療を目的として脂肪由来の細胞を利用した心筋再生細胞医薬品の研究開発を進めています。自身の研究開発をケース・スタディとして、国内外で異なるビジネス展開の潮流と周辺事情からビジネスチャンスの捉え方を話した後に、それらを踏まえて国内での細胞医薬品開発のための基盤整備の在り方について講演しました。

日本ケミカルリサーチ株式会社 毛利善一 開発顧問

次に、細胞性医薬品の開発の例として、がんワクチンの研究開発を進めている理研免疫・アレルギー科学総合研究センターの藤井眞一郎ユニットリーダーが「他家細胞を利用したがんワクチンaAVCの開発」と題して講演。aAVCとは「人工アジュバントベクター細胞」の略称で、これは患者から採取された細胞(専門的には自家細胞と呼ばれます)を利用せず、人工的に処理されたヒト細胞を使用したワクチンです。細胞を利用した従来のがんワクチンは、患者さんから細胞を採取してから作製されるため、時間とコストが課題でした。aAVCの場合、患者さんを待たずともあらかじめ医薬品として製造することが可能なため従来の課題を解決できること、また免疫の活性化の効果も非常に高いことを紹介し、今後の臨床開発の展望を話しました。

パネルディスカッション

続いて、国内企業で開発を進めている事例として、日本ケミカルリサーチ株式会社の毛利善一 開発顧問よりご講演を頂きました。
日本ケミカルリサーチ株式会社では同種造血幹細胞移植時の移植片対宿主病(GvHD)の治療薬として、他家のヒト間葉系幹細胞を用いた細胞性医薬品の開発を進めていますが、拡大培養および凍結保存が可能であり、技術的に医薬品としての流通が可能です。今回は、本製品が、免疫原性が低いことから、拒絶反応がなく、誰にでも投与が可能であり、免疫抑制作用を活かした、GvHD治療薬として有用性が高いことや、自己免疫疾患などの免疫異常が関与する疾患にも有効である可能性をご紹介していただく一方、表題の他家細胞のGvHD対象の臨床開発における課題や角膜の再生医療への展開もお話して頂きました。

ドイツ・エルランゲン大学 Jan Dörrie グループリーダー

休憩後は、(独)医薬品医療機器総合機構(PMDA)の安藤剛 審査等改革本部事務局長代理より科学委員会の取り組みについて講演を頂きました。
薬事法に基づく医薬品・医療機器などの審査関連業務を担うPMDAには、アカデミアや医療現場との連携・コミュニケーションを強化し、先端科学技術応用製品へのより的確な対応を図ることを目的として科学委員会が設置されました。今回は科学委員会のご紹介と、アカデミアでの先端科学技術に基づく製品開発において効率的な開発プロセスの方法などをご紹介して頂きました。

、(独)医薬品医療機器総合機構(PMDA) 安藤剛 審査等改革本部事務局長代理

続いて、海外よりドイツ・エルランゲン大学よりJan Dörrie グループリーダーを招き、欧州での細胞医療に関する動向についてご自身の研究状況と合わせて講演頂きました。Dörrie グループリーダーの所属する研究チームでは、患者さんから採取された樹状細胞を利用したがん治療(樹状細胞療法)の研究開発を進めています。現在、企業からのサポートなしで悪性黒色種の転移抑制を目的とした臨床第三相試験を進めている状況や、欧州において大学等が主体的に進める臨床開発の事例や制度面についても紹介して頂き、国内から海外への展開を考える上での情報を多く頂きました。

最後のパネルディスカッションでは松山プロジェクトリーダーがモデレーターを務め、理研分子イメージング科学研究センターの林拓也 副チームリーダーも参加して進められました。

第2回先端社会シンポジウム 「細胞を利用した次世代医薬品が広げるイノベーションの可能性」

林副チームリーダーはPET(陽電子断層撮像法)、MRI技術を利用して、再生医療などの有効性や安全性に関する研究を進めています。パネルディスカッションでは、医薬品として新たに登場し始めた細胞性医薬品について安全性と有効性の考え方を全員で議論し、今後に向けた開発研究を取り巻く環境整備や産学の連携に関する活発な意見が取り交わされました。

理研創薬・医療技術基盤プログラム 松山晃文プロジェクトリーダー

シンポジウムには民間企業、大学関係者を始めとして幅広い層の方々から156名にお越しいただきました。誠にありがとうございました。

細胞性医薬品の実用化に向けては課題が多くあり、ただ一つの機関・企業が単独に推し進めて解決できるものではありません。しかし、今回のように様々な立場からの意見が交わされることで協力の輪が広がり、国内でのイノベーション創出に繋がることを期待しています。

理研の社会知創成事業では、これからも先端的な科学技術の成果を実用化へ繋げるための情報を発信していき、今後もイノベーションの創出への貢献をテーマとした講演会・セミナー等を開催していきたいと思います。 ご興味のある方は、イベント一覧をぜひご覧ください。


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