第28回理化学研究所里庄セミナー
理研は科学振興仁科財団と共同で「第28回理化学研究所里庄セミナー」を8月17日(土)、岡山県里庄町の仁科会館で開催します。
里庄町は現代物理学の父であり財団理研第4代所長であった仁科芳雄博士の生誕地であり、理研とゆかりのある場所です。里庄町にある博士の名を冠した仁科会館で開催される「里庄セミナー」は、岡山県内の研究機関や企業の交流、そして青少年の科学に対する関心を高めることを目的に、1992年から毎年行われており、今年で28回目となります。
今年は、生命機能科学研究センター 先端バイオイメージング研究チームの渡邉朋信チームリーダーが「生命現象と「光」」、数理創造プログラムの初田哲男プログラムディレクター(仁科加速器科学研究センター 量子ハドロン物理学研究室 室長)が「数理が開く科学の扉」というテーマで講演を行います。
皆さまのご来場をお待ちしています。
※昨年の様子は第27回理化学研究所里庄セミナー開催報告のページでご覧いただけます。
開催日 | 2019年8月17日(土) |
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時間 | 9:30-12:00 |
対象 | 一般 / 高校生 / 大学生 |
場所 | 仁科会館2階 仁科記念ホール 岡山県浅口郡里庄町浜中892-1 |
参加費 | 無料 |
定員 | 120名様 ※要事前参加申込、定員になり次第締め切ります |
問合せ | 仁科会館 Tel: 0865-64-4888 |
演題
生命現象と「光」
- 講師 渡邉 朋信
- 生命機能科学研究センター 先端バイオイメージング研究チーム チームリーダー
私は「生命現象において、唯一無二の事象など存在せず、全ての事象に相関がある」と考えています。たとえば、光を細胞に照射すると、光は細胞内部の分子等の状態により影響を受けてから散乱されます。一方、細胞の遺伝子発現の変化は、内部の分子の種類や状態を変化させます。すなわち、細胞に光を当てた時の散乱光は、細胞の遺伝子発現を反映しており、散乱光から遺伝子発現を推定できる可能性があります。これは大小種類を問わず因果関係が複雑に絡み合う生命現象の特徴であると共に、光の新しい使い方を私たちに提案してくれます。本講演では、私の一風変わった生命観と研究戦略を楽しんで頂けるよう、お話ししたいと思います。
数理が開く科学の扉
- 講師 初田 哲男
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数理創造プログラム プログラムディレクター
仁科加速器科学研究センター 量子ハドロン物理学研究室 室長
宇宙や生命の起源を解明することは、科学者の夢です。そのような根源的な問題の解明には、自然科学の「共通言語」である数学を通した異なる分野の叡智の統合と、それに基づく分野横断的な研究展開が必要となります。本講演では、科学の歴史を紐解きながら、基礎科学や技術革新における数理の役割をまず振り返ります。つぎに、自然を理解する上での「数理パワー」を、講演者自身の物理学と生物学をまたいだ研究経験も交えてお話しします。最後に、科学と技術が手を携えて進歩する「共進化」の考え方をお話しし、今後到来が期待される「予測科学」の時代について展望します。