広報活動

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理研BRCセミナー: iPS細胞を用いた腎疾患に対する創薬に向けて

無限の増殖能と全身のすべての細胞種への多分化能を有するiPS細胞 (人工多能性幹細胞) が樹立され、細胞移植療法(狭義の再生医療)の開発に加え、難治性疾患に対する疾患モデル作製研究(disease modeling)が盛んに行われている。それは、疾患発症に関わる遺伝情報を有する疾患特異的iPS細胞(disease-specific iPS cell)を樹立し、in vitroでその疾患で障害される罹患細胞種に分化誘導することによって病態を再現する系を構築し、詳しい病態解析や創薬を行う研究のことである。従来の実験動物を用いたin vivoの疾患モデルと相補的に活用できるヒト細胞を用いたより簡便なin vitro疾患モデルとして期待を集めている。演者らは、腎疾患に対する再生医療の開発と創薬を目指して、ヒトiPS細胞から腎臓系譜への分化誘導法開発、動物モデルを用いた移植療法の開発、疾患特異的iPS細胞の樹立などの研究を進めている。ヒトiPS細胞から腎臓系譜へ の分化誘導は、腎臓の発生過程や構造が複雑であることなどの理由により、他の臓器よりも遅れをとっていたが、近年、目覚ましく進捗している。演者らも、発生過程を再現し、ヒトiPS細胞から腎臓を派生させる胎生初期組織である中間中胚葉を経て、胎生期の腎前駆細胞であるネフロン前駆細胞と尿管芽細胞を高効率に分化誘導する独自の方法を確立した。さらに、それらの腎前駆細胞から糸球体や尿細管を含む腎組織(オルガノイド)の作製に成功し、より生体内のものに近い腎臓構造の再構築と疾患モデル作製に向けた研究を進めている。本発表では、筆者らの行っている多発性嚢胞腎をはじめとする難治性腎疾患に対する疾患モデル開発に基づく、新規治療標的の同定とそれを用いた創薬研究の現状と今後の展望について提示したい。

開催日 2018年8月29日(水)
時間 15:00~16:00
対象 研究者 / 大学生 / 大学院生 / 技術者
場所 公益財団法人国際高等研究所内 研究棟B 2階216
京都府木津川市木津川台9-3
講演者 長船 健二 教授
(京都大学iPS細胞研究所 増殖分化機構研究部門)
中継 筑波地区 バイオリソース研究センター 森脇和郎ホール
注意 当セミナーは、事前登録が必要です。
ご所属/職名/氏名/メールアドレス/参加会場を明記の上、下記メールアドレス宛にメールにてお申し込みください。
Email:riken_keihanna [at] ml.riken.jp (※[at]は@に置き換えてください。)
※つくば地区にて中継をご覧になる方で理化学研究所以外からご参加の方は、所属する大学または研究機関が発行する身分証をご持参し、守衛所にて掲示し、入講証をお受け取りください。
詳細 PDF(260KB)
お問い合わせ先 理研けいはんな事務局
Tel:0774-98-2211