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新種のサクラ

理研仁科加速器科学研究センター イオン育種研究開発室の阿部 知子 室長らが開発した新種のサクラを紹介します!JFC石井農場と共同開発による成果です。

理研の加速器「リングサイクロトロン」から発生する重イオンビームを照射して突然変異を誘発させてつくり出しました。

新品種の作り方(重イオンビームによる変異誘発技術)

新品種の作り方(重イオンビームによる変異誘発技術)の解説図

淡い黄色の「仁科蔵王」

仁科蔵王の写真

緑がかった花を咲かせる桜「御衣黄(ぎょいこう)」(写真右)に重イオンビームを照射して突然変異を誘発させてつくり出したもので、淡黄色の花を咲かせます。その花は、黄色ピンクのふちに明黄緑色の筋が入り、咲き始める頃には淡黄緑白色で、終わりの頃に淡黄ピンクが広がり、美しい色の変化が見られます。通常、開花時期は4月中旬頃で、約2週間と長期間にわたり花が楽しめます。花の形は半八重で、4~5センチ程度の大きさをしており、元親の御衣黄と違った新品種となりました。

「仁科」は理研の加速器の父・仁科芳雄博士、「蔵王」は共同研究者のJFC石井農場が山形の育種家であることに由来しています。2001年にノーベル化学賞を受賞した理研の野依良治理事長が命名しました。

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重イオンビームで世界初の桜の新品種の作成に成功(2007年10月31日プレスリリース)

四季咲きの「仁科乙女」

仁科乙女の写真

「山形13系敬翁(けいおう)桜」に重イオンビームを照射して突然変異を誘発させてつくり出したもので、ピンク色の一重のかれんな花を咲かせます。

一般に日本のサクラは、夏につくられた花芽(はなめ)が晩秋に休眠します。花を咲かせるには、冬の寒さによって休眠を打破することが必要で、早春に花芽が生長し、開花に至ります。元品種である敬翁桜は、8℃以下1000時間程度の低温が、休眠打破に必要です。ところが、仁科乙女は休眠打破に低温を必要としません。つまり、低温にさらされなくても花を咲かせることができることが最大の特徴です。

野外栽培では、開花時期は4~7月、9~11月の二季咲きですが、温室で栽培すると個体ごとにさまざまな時期に開花し、連続して花を咲かせることができます。ただ、気温が30℃を超える真夏と5℃以下になる真冬には、花が咲きません。また、寒さにさらしたり、葉を落とすと、一斉に開花するようになります。一斉開花のときの花の数は、元品種である敬翁桜の3倍で、花が美しく咲く期間は敬翁桜の2週間に対して2倍の4週間に延びました。

「仁科」は理研加速器の父・仁科芳雄博士、「乙女」はピンク色の可憐な花に由来し、「仁科乙女」と命名されました。

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重イオンビームで四季咲きサクラの品種改良に成功(2010年1月14日プレスリリース)

花の大きい「仁科春果」・ぼんぼり咲きの「仁科小町」

花の大きさが3.0~3.5cm、花弁数が21~50枚の八重咲きのサクラ「春月花」の枝に重イオンビームを照射して突然変異を誘発してつくり出したサクラです。「仁科蔵王」、「仁科乙女」とは違い、その枝を接ぎ木した後に、自然に受粉させて得たたくさんの種子を育て、その中から優良な品種を選び出しました。

「仁科春果」(写真左)は、春月花に比べて花の大きさが4.1~4.2cmと大きく、花弁数が23~25枚と安定した八重咲きです。「仁科小町」(写真右)は、花の大きさが1.3~1.4cmと小さく、花弁数も5枚で一重咲きです。また、サクラでは珍しく、花が完全に開かないぼんぼりのような形(ぼんぼり咲き)をしています。

仁科春果の写真 仁科春果
仁科小町の写真 仁科小町

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