広報活動

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2009年1月16日

理化学研究所

てんかん原因遺伝子異常による発症をマウスで確認

- てんかん発症につながりうる新たな複数の異常症状を発見 -

けいれん誘発剤であるペンチレンテトラゾールを投与し強直間代発作(GS)を生じたマウスの個体数、および発作までの時間

全身の激しいけいれんなどでソクラテスの時代から知られるてんかんは、世界の全人口のおよそ3%が一生を通じて一度は発症する頻度の高い神経疾患です。発作症状は多種多様で、原因を特定することを難しくしていますが、その多くには遺伝的背景(複数の原因遺伝子や症状修飾遺伝子の存在)が指摘されています。「若年性ミオクロニーてんかん」は、思春期に発症し、起床時に頻発するミオクロニー発作、強直間代発作などを特徴とする、最も発症頻度の高いてんかんのひとつで、てんかん全体の7 ~9%を占めるとされています 。

理研脳科学総合研究センターの神経遺伝研究チームは以前(2004年)、この若年性ミオクロニーてんかん患者で変異が多く見られる「EFHC1」遺伝子を発見し報告しました。今回、研究チームはこの遺伝子のノックアウトマウスを初めて作製し、このマウスがミオクロニー発作やけいれん誘発剤に対する高い感受性など、てんかん患者と類似の症状を示すこと、さらには脳室壁の上衣細胞繊毛の運動機能の低下などいくつかの特異的な異常症状を示すことを明らかにしました。 今まで同定されたてんかん原因遺伝子の多くがイオンチャネルを暗号化しているのに対し、EFHC1遺伝子のそれはイオンチャネルではないことや、EFHC1が最も頻度の高いてんかんで多くの変異が見られる遺伝子であることなどから、今回の成果は、EFHC1遺伝子の変異が引き起こすてんかんばかりでなく、てんかん全体の発症メカニズムの理解にもつながり、さらには今後、治療法の開発・改良にも大きく寄与することが期待されます。

理化学研究所
脳科学総合研究センター 神経遺伝研究チーム
チームリーダー 山川 和弘