広報活動

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2009年1月22日

理化学研究所

X線繊維回折でアクチンフィラメントの構造を解明

- 生命の基本タンパク質「アクチン」が担う生理機能のメカニズム解明に一歩 -

筋肉の動きの源として知られるタンパク質「アクチン」は、それ以外にも細胞の運動、細胞内の運動、小器官の固定、細胞分裂など、生命維持機能に欠かせない重要な役割を果たしています。真核細胞に多量に存在し、1個1個バラバラな単量体状態(G-アクチン)と、単量体が数珠状に重合したフィラメント状態(F-アクチン)の2つの状態をとります。この2つの状態の変化が、細胞運動メカニズムの基本となっています。1990年、独の研究者によって、このアクチンの単量体の結晶構造が解明され、重合体のモデルにも代用されてきました。しかし、その実態はナゾのままでした。

理研放射光科学総合研究センターのX線構造解析研究チームは、科学技術振興機構、名古屋大学の研究チームらと協力し、F-アクチンの構造をSPring-8(スプリングエイト) を使ったX線繊維回折法などを駆使して解明しました。その構造は、単量体が持っているねじれた2つの大きなドメインが相対的に回転し、平板な構造体になっているものでした。さらに詳細に解析した結果、この平板化する回転軸にあたる部分には、エネルギー源であるアデノシン三リン酸(ATP)の加水分解に必須なアミノ酸があり、平板化とATP加水分解反応が密接に関係していることが分かってきました。

ATPのエネルギーを利用して駆動力を発生する、アクチンモーターのメカニズムが明らかになると期待できます。さらには、筋収縮メカニズムを始め、ナゾとされている細胞運動の原子レベルでの解明が大きく前進する手掛かりとなりました。

理化学研究所
放射光科学総合研究センター
構造生理学研究グループ
X線構造解析研究チーム
チームリーダー 小田 俊郎(おだ としろう)
Tel : 0791-58-1823 / Fax : 0791-58-1879

※ 独立行政法人科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業 ERATO型研究「アクチンフィラメント動態プロジェクト」のアクチンフィラメントの構造と動態グループ・グループリーダー兼任