広報活動

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2009年3月4日

理化学研究所

神経接着因子「DSCAM」欠損マウス、中枢性呼吸障害で急死

- DSCAM遺伝子変異が乳幼児突然死症候群にかかわる可能性も -

電位依存性色素を用いたマウス脳幹脊髄摘出標本における呼吸リズム中枢の解析

何の前触れもなく乳児が呼吸停止して死に至る「乳幼児突然死症候群」は、1歳未満の乳児の死亡原因の第3位を占めながら、その原因はいまだ謎のままです。

理研脳科学総合研究センターの神経遺伝研究チームは、「DSCAM遺伝子」のノックアウトマウスを作製し、このマウスが中枢性呼吸障害(呼吸中枢の異常による障害)を示して出生後すぐに死亡することを見いだしました。DSCAM遺伝子は、1998年に山川和弘チームリーダーが、ダウン症精神遅滞の発症にかかわる遺伝子の候補として、ヒト21番染色体上に同定した神経接着因子をコード(暗号化)する遺伝子です。

DSCAMタンパク質は、神経系に広く発現し、神経細胞膜表面で軸索伸長方向を誘導するなど、神経回路の形成に関与していると考えられています。 作製したノックアウトマウスでは、神経細胞のDSCAM依存的神経突起伸長が異常を示しました。

今回の成果は、DSCAM遺伝子の異常が、乳幼児突然死症候群や中枢性呼吸障害などの疾患の原因の一部となる可能性を示唆するとともに、今後、さらなる中枢呼吸制御メカニズムの理解や、それら疾患の治療法の開発・改良に寄与することが期待されます。

理化学研究所
脳科学総合研究センター 神経遺伝研究チーム
チームリーダー 山川 和弘