広報活動

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2009年5月26日

独立行政法人 理化学研究所
慶應義塾大学先端生命科学研究所

代謝産物から「体内時刻」を簡便かつ定量的に測定する新手法を確立

- 血中物質からマウスの時差ぼけを正確にキャッチ -

血中で24時間周期で振動する物質の同定

私たち人間はもちろん、多くの生物は、体の中に1日周期の時を刻む「体内時計」を持っています。体内時計は、睡眠・目覚めのサイクルなど色々な現象を制御しています。体内時計が狂うと時差ぼけや睡眠障害に悩まされるなど、概日リズム障害を引き起こします。

17世紀、スウェーデンの植物学者カール・フォン・リンネは、さまざまな植物の花が固有の時間で咲いたり閉じたりする現象から、花時計を考案しました。この花時計に倣い、発生・再生科学総合研究センター システムバイオロジー研究チームは、慶応義塾大学先端生命科学研究所などと共に、マウスの血液から体内時計の刻む時間(体内時刻)を正確に測定することに、世界で初めて成功しました。

研究グループは、最新の高速液体クロマトグラフィー・質量分析計やキャピラリー電気泳動・質量分析計を使って血液中の代謝産物を包括的に分析(メタボローム測定)しました。その結果、24時間周期で変化する概日振動物質を数百個同定し、時刻順に並び替えた「代謝産物時刻表」を作成しました。この時刻表をもとに、マウスの体内時刻を測定することに成功し、また、時差ぼけを診断することにも成功しました。この手法は人間に応用できると考えられ、今後概日リズム障害の診断や、適切な時刻に適切な治療を行う「時間治療」の実現が期待されます。

理化学研究所
発生・再生科学総合研究センター
システムバイオロジー研究チーム
チームリーダー 上田 泰己(うえだ ひろき)
Tel: 078-306-3191 / Fax: 078-306-3194