広報活動

Print

2009年6月29日

独立行政法人 理化学研究所
トヨタ自動車株式会社
株式会社豊田中央研究所
株式会社コンポン研究所

脳波で電動車いすをリアルタイム制御

-Brain Machine Interface (BMI)の新しい脳信号処理技術を開発-

試作したBMIによる電動車いす制御システム(キュワン・チェ博士提供)ノートパソコンをベースとしたシステムを搭載

頭の中で、「左に行きたい」、「いや右だ」とイメージすると、マシンがその意思のとおりに動く、こんな機械を開発するには、人間と機械のインタフェイスが重要です。これは、手や足を使って機械を自由に操ってきた人類の新しい試みの1つとなっています。これまで、自動車、新幹線、船舶、飛行機、ロケットといった足代わりの輸送機械、手が届かないところに手が届く医療機器、ショベルカーやクレーン車といった建設機械など、いずれも手や足で機械に指令していました。しかし、高年齢化が加速している現代社会において、高齢者や体が不自由な人を補助する装置、中でも筋肉や体の動き、声の指令に頼らず、脳信号だけでさまざまな器機と相互関係を築くブレイン・マシン・インタフェイス(BMI)に対する関心が高まっています。

理研、トヨタ、豊田中央研究所、コンポン研究所が2007年に設立した理研BSI-トヨタ連携センターの非侵襲BMI連携ユニットは、 信号処理技術を駆使して、125ミリ秒という短時間に脳波を解析し、前進、右・左の信号を抽出することに成功しました。車いすを足、右手左手を動かすイメージで制御します。開発したシステムは、電極を頭皮・毛髪の上から接触する脳波計を使って信号を捕えるので、外科手術が不要です。さらに、システムが解析した脳波の解析結果をその場で確認できるため、人間の意思とシステムのすり合わせをリアルタイムで行うことができます。

つまり、システムとコミュニケーションをとる“こつ”を、容易かつ効率的に習得できます。今回、電動車いすにこのシステムを搭載し、脳波の解析の信頼度を検証したところ、前進、左右旋回の3方向を95%の信頼度で制御することに成功しました。今回は手や足の運動を想像して、積極的に作り出した脳波を対象としましたが、計測・解析技術をさらに発展させることで、運動以外の意図や状態を反映する脳波への応用の可能性にも期待しています。