広報活動

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2009年7月10日

独立行政法人 理化学研究所

カメが甲羅を作った独特の進化過程を解明

―カメは体壁を折り曲げ、肋骨を広げて甲羅を作る―

ヒトとカメの肋骨と肩甲骨の比較

ヒトをはじめニワトリ、ヘビ、カメなどは、胚が羊膜に包まれている羊膜類に分類されます。ところが同じ羊膜類でも、カメは甲羅を持ち、脊椎を中心に肋骨は扇状で横方向に開き、肩甲骨は肋骨の内側に位置しています。ヒトをはじめとする羊膜類と、骨格が逆転しているのです。さらに、肩や二の腕を胴体につないでいる筋肉は甲羅の内側にあり、骨格同様、位置が逆転しています。

研究をもとに推定したカメの進化

祖先動物が進化していく過程で、大きさを変化させる現象は、コウモリの翼などに見られますが、カメの進化は質的位置の変化です。解剖学、形態学、古生物学などでは大きな謎でした。

発生・再生科学総合研究センターの形態進化研究グループは、カメの発生後期過程で、腹側の体壁が内側に折れ込み、骨格の位置関係が変わる様子を観測しました。具体的には、カメと鳥類、ほ乳類の肩甲骨や肋骨の発生過程を比較し、原始的な羊膜類から進化してきた発生過程の変化を推定しました。その結果、カメの肩甲骨は胚発生の中期までは、ほかの羊膜類と同じように肋骨の外側前方にありますが、後期には腹側の体壁が内側に折れ込むため、肩甲骨の下側へ移動し、肋骨の内側に位置するように見えることがわかりました。これらの知見からカメの進化のシナリオが原始的なカメの化石とも一致、発生プログラムの数箇所の変化が、大きな変化をもたらすことが垣間見られました。

理化学研究所
発生・再生科学総合研究センター形態進化研究グループ
研究員 長島 寛(ながしま ひろし)
Tel: 078-306-3064 / Fax: 078-306-3370