広報活動

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2009年7月15日

独立行政法人 理化学研究所

32Ne(ネオン‐32)の大変形観測に世界で初めて成功

―RIビームファクトリー稼動後、初の原子核反応実験で達成―

第一励起準位のエネルギー決定

自然界に存在するさまざまな元素の原子核は、陽子と中性子から成り、ほとんどの原子核が、陽子と中性子が同数のエネルギー的に安定な状態をとります。しかし、自然界には、陽子と中性子のいずれか一方が過剰な不安定核(放射性同位元素:RI)が存在します。この不安定核を調べることで、宇宙における元素誕生の謎や原子核の魔法数の現象などを解くことができます。

仁科加速器研究センターは、国内外の研究グループとの国際共同研究で、中性子過剰なネオンの放射性同位元素32Ne(Neは陽子数・中性子数がそれぞれ10個で安定するが、32Neは陽子10個に対し中性子が22個ある)の大変形を世界で初めて観測することに成功しました。

質量数が30前後で中性子数が20前後の中性子過剰の領域は、原子核が球形から回転楕円体に異常変形している「異常変形領域」として知られています。この領域の広がりを調べることが世界的な研究テーマとなっており、32Neのデータ取得が切望されていました。

研究グループは、RIのビーム強度が世界最高のRIビームファクトリーの超伝導リングサイクロトロンを使って48Caを345MeV(メガ電子ボルト)まで加速し、初加速ながらも1012個/秒の世界最大強度を生み出しました。この大強度ビームをBe(ベリリウム)にぶつけ、生成したRIを超伝導RIビーム生成分離装置で分離し、32Neビームを取り出しました。この32Neビームの強度は、世界のほかの施設の数百倍もありました。さらに炭素にぶつけて32Neを励起し、高効率ガンマ線検出器とゼロ度スペクトロメータで32Neの励起準位を測定した結果、32Neは、ネオン同位体の中で最も大きく変形していることが分かりました。この発見から、中性子数が増えると変形が促進することや、中性子過剰の元素の存在限界に近い32Neまで異常変形領域が広がっていることが明らかになりました。ほかの施設では半年以上の時間がかかる実験を、今回、たった8時間という短時間で達成できたことから、RIBFの設備と装置の信頼性を実証する結果となりました。

理化学研究所
仁科加速器研究センター 櫻井RI物理研究室
専任研究員 Heiko SCHEIT(ハイコ シャイト)
主任研究員 櫻井 博儀(さくらい ひろよし)
Tel: 048-462-5362 / Fax: 048-462-4464