広報活動

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2009年10月14日

独立行政法人 理化学研究所

微生物の環境適応センサータンパク質の構造を解明

-光、熱、酸素、ストレスなどの環境変化への応答機構を発見-

ヒスチジンキナーゼが環境変化感知をリン酸化反応に変換するメカニズムの模式図

地球の上空5,000mから、地下数kmの水分や土壌にまで発見される微生物は、光、熱、酸素、栄養状態など、めまぐるしく変化する環境の中で、たくましく生き続けています。これは、微生物独特の環境に応答するセンサーが機能しているためで、そのシステムの根幹となる「二成分情報伝達系」の存在が分かっています。

このシステムは、環境変化を感じ取るとリン酸基を結合する「ヒスチジンキナーゼ」と、環境の変化に適応するように働く「レスポンスレギュレーター」と呼ぶ2種類のタンパク質からできています。これまでに、ヒスチジンキナーゼ内の環境を感じ取るセンサードメイン、感じ取った状況を伝える触媒ドメインと二量化ドメインの詳細な構造も分かってきています。さらに、レスポンスレギュレーターが、このリン酸基を受けとり、環境対応のタンパク質を発現させたり、活性化をコントロールすることも明らかとなっていました。

しかし、個別のドメインがつながった全体構造や、2つのタンパク質の複合体の構造が分からず、環境変化の情報伝達のメカニズムも謎のままとなっていました。

放射光科学総合研究センターの城生体金属科学研究室らの研究グループは、環境応答センサーとして機能するタンパク質の全体構造の解明に世界で初めて成功しました。この解析によって、情報伝達のオン・オフは環境を感知するセンサードメインと、リン酸化反応を行う触媒ドメインの接触の有無で切り替えられていることなどが明らかになりました。

二成分情報伝達系は、人間には存在しませんが、病原菌や植物ホルモン(エチレン)作用に重要な働きをしており、新しい抗菌剤の開発や植物の生育調整剤の開発に役立つと期待されます。

理化学研究所
放射光科学総合研究センター 利用技術開拓研究部門 城生体金属科学研究室
主任研究員 城 宜嗣(しろ よしつぐ)
Tel: 0791-58-2817 / Fax: 0791-58-2818