広報活動

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2009年12月15日

独立行政法人 理化学研究所

葉緑体タンパク質をコードする遺伝子変異体の表現型をDBで公開

-低炭素社会の構築に必須な、葉緑体機能研究のための基盤整備へ貢献-

野生型と変異体の表現型の分類

地球温暖化の阻止や低炭素社会を作り出すために、太陽の恵みを受けて植物が行う「光合成」に大きな期待が寄せられています。この光合成の機能を担う葉緑体は、CO2を取り込んで酸素を発生して生命の呼吸を支えるだけでなく、物質の生産、食糧生産の源としても活躍しているため、葉緑体の機能を詳細に解き明かす重要性が増しています。

葉緑体の起源は太古にさかのぼり、植物の祖先が、光合成で生命を維持していた生物「ラン藻」の祖先を細胞に取り込んで生まれた、とされています。葉緑体を形作る多くのタンパク質(葉緑体タンパク質)は細胞質で合成され、葉緑体に運ばれますが、多くの場合この輸送には「トランジットペプチド」と呼ばれる数十のアミノ酸の配列が必要です。その種類の数は、シロイナナズナの葉緑体の場合、少なく見積もっても2,090個と予想されています。

植物科学研究センターの機能開発研究グループは、葉緑体タンパク質を産生すると予想した遺伝子のうち、1対(2本)の染色体にある両方の遺伝子を破壊した植物変異体(ホモ挿入体)を収集するために1,722ラインを集め、それらを育成プレート上で網羅的に観察しました。その結果、野生型の芽生えを示すホモ挿入体、異常な芽生えを示すホモ挿入体、致死変異体などを得て、これらをデーターベースにまとめ公表しました。公表したデータには、撮影した変異体の写真や発芽率など、多くの情報を詳細に提供しています。

この成果は、一見普通に見える植物体でも、葉緑体機能に異常がある変異体を検索することを可能とするため、葉緑体の機能研究の進展に有効です。

葉緑体の機能を解き明かし、CO2の固定や食糧生産などが期待される植物研究に大きく貢献します。

理化学研究所
植物科学研究センター センター長
機能開発研究グループ グループディレクター
篠崎 一雄 (しのざき かずお)
Tel: 045-503-9579 / Fax: 045-503-9580

機能開発研究グループ 研究員
明賀 史純 (みょうが ふみよし)
Tel: 045-503-9625 / Fax: 045-503-9584