広報活動

Print

2010年5月28日

独立行政法人 理化学研究所

イネ科の宿主から寄生植物へ、核内遺伝子が水平伝播する現象を発見

-寄生植物が、栄養源に加えて遺伝子も宿主植物から獲得-

イネに寄生した寄生植物ストライガ

顔や声、性格などが親とそっくりだ、などと言われるケースが有るように、親の遺伝子は子、孫へと代々受け継がれていきます。ところが、親子関係が無い生物同士の間でも遺伝子が受け継がれることがあり、「遺伝子の水平伝播」と呼ばれています。この現象は微生物間ではよく知られている一方で、高等植物では、独自のDNAを持つミトコンドリア遺伝子の水平伝搬や、核内の遺伝子がゲノム上を転移するトランスポゾンによって近縁種間で起こる場合などに限られていました。

植物科学研究センター植物免疫研究グループらは、イネやモロコシなどの根に寄生して、アフリカを中心に農作物の収穫に大打撃を与えている寄生植物「ストライガ」の遺伝子解析を行い、宿主の核内遺伝子が寄生植物へ水平伝播していることを発見しました。

研究グループはストライガの発現遺伝子の大規模解析を実施し、17,000個以上のストライガ遺伝子を同定しました。この遺伝子群をほかの植物の遺伝子と比較したところ、ストライガは真正双子葉植物に属するため、取得した遺伝子の約8割が同じ真正双子葉植物のシロイヌナズナやブドウの遺伝子とよく似ていました。ところが意外なことに、ストライガ遺伝子の中に、双子葉植物には存在しないで、宿主である単子葉植物のモロコシに非常によく似た遺伝子ShCotig9483を見つけました。

ShCotig9483の隣にある遺伝子が双子葉植物の系統に近いことも見いだしたため、この遺伝子だけが宿主から水平伝播したと考えられます。この単子葉植物に特異的なShContig9483は、ストライガが親から子へと受け継いできた遺伝子ではなく、進化の過程で宿主から獲得した遺伝子であり、寄生植物が水や栄養分だけでなく、宿主の核内遺伝子までも取り込んだ例の初めての発見となりました。

理化学研究所
植物科学研究センター 植物免疫研究グループ
グループディレクター 白須 賢(しらす けん)
Tel: 045-503-9574 / Fax: 045-503-9573