広報活動

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2011年6月6日

独立行政法人 理化学研究所

基底状態の冷反水素原子の閉じ込め時間、1,000秒以上に!

-基礎物理学の根幹に関わる反物質研究がさらに進展-

八重極磁気瓶の構造(円筒電極内径4.45cm、長さ約50cm)

宇宙に存在する物質と対をなす 反物質の代表として知られている反水素原子が、欧州原子核研究所(CERN)で生成され、謎だらけの反物質の解明に光がさしはじめています。しかし、反水素原子の性質を詳細に調べるためには、極低温の反水素原子を真空中の小さな領域に閉じ込めること、あるいは、エネルギーのそろった冷たい反水素ビームを作りだすこと、が必要不可欠です。理研基幹研究所山崎原子物理研究室の研究グループは、国際共同研究グループと共に、CERNの反陽子減速器を活用し、この2つのテーマに挑戦してきました。

2010年11月には、八重極磁気瓶を用いて極低温反水素原子を0.1秒以上閉じ込めることに成功しましたが、高精度レーザー分光実験に進むには、基底状態の反水素原子をより長時間閉じ込める必要がありました。

磁気瓶の磁場をゼロにしてからの時刻とその消滅位置

今回研究グループは、反陽子を暖めることなく集団運動を起こさせる技術に磨きをかけ、より“そっと”混ぜ合わせることで、反水素原子を前回の1万倍以上となる1,000秒以上閉じ込めることに成功しました。

今回の成果により、高精度レーザー分光実験が目と鼻の先に近づきました。これにより、水素原子と反水素原子の違いを格段に高精度で測定でき、CPT対称性テストが実現するとともに、「なぜ、私たちの宇宙が物質ばかりからできているのか」という謎解の手がかりを得られると、注目されています。

理化学研究所
基幹研究所 山崎原子物理研究室
上席研究員  山崎 泰規 (やまざき やすのり)
Tel: 048-467-9482 / Fax: 048-467-8497