広報活動

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2012年2月8日

独立行政法人 理化学研究所

玄米の代謝成分量を決める遺伝型を網羅的解析

-独自開発した高性能のメタボローム分析で玄米の遺伝型と表現型の関連性を詳細分析-

欧米ではコメは野菜らしいのですが、日本ではれっきとした主食です。食生活の多様化でパンやパスタに押され気味ではあるものの、コメを食べないと力がでないという人も多いのではないでしょうか。コシヒカリと南高梅のオニギリなんかをほうばる時は、日本人に生まれた良かったと思う瞬間です。

栄養があり健康によい成分を持つ品種とおいしい品種を掛け合わせれば、健康によくかつおいしい品種ができます。こうしたコメをつくるためにはコメの成分の詳細な分析が必要になります。コメには主成分であるデンプンのほかにもさまざまな成分が含まれ、品種によってそれぞれの成分の含有量は異なります。これには複数の遺伝子が関わり含有量を決定しているのですが、特定の遺伝子とそれに対応する量的な形質の関連性などはよく分かっていませんでした。

植物科学研究センターの研究者と農業生物資源研究所の研究者は共同で、その解明に取り組みました。世界で最も幅広く代謝成分を分析できる「メタボローム分析」という手法を使い、解析用に作られたイネの玄米から759個の代謝物を検出しました。その結果、アミノ酸、脂質などの栄養成分や、フラノボイドなどの健康機能成分が含まれていることが分かりました。また、アミノ酸や糖などの含有量は生まれつきの遺伝的要因ではなく、気候や肥料などの環境的な要因によって影響を受けるのに対して、フラボノイドや脂質の含有量は遺伝的要因でほぼ決まることも明らかになりました。さらに詳細な解析により成分含有量に影響を与える801個の遺伝子も発見しました。

今回得られた情報と解読が終わっているイネゲノム情報を併せて活用することで、遺伝子組み換え技術を利用しなくても、短期間で有用な成分を強化できる品種改良技術が開発できるものと期待できます。

図 検出した玄米代謝成分

理化学研究所
植物科学研究センター
メタボローム機能研究グループ
グループディレクター 斉藤 和季(さいとう かずき)
Tel: 045-503-9488 / Fax: 045-503-9489

客員研究員 松田 史生(まつだ ふみお)
Tel: 045-503-9442 / Fax: 045-503-9489