広報活動

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2012年2月24日

独立行政法人 理化学研究所
東京理科大学

抗体産生を制御するゲノム領域「CNS-2」を発見

-リンパ濾胞内にあるT細胞(TFH細胞)による抗体産生メカニズムを解明-

TFH細胞の抗体産生メカニズム

病原体と戦う免疫細胞は、互いに連絡を取り合いながら力を合わせて体を守っています。免疫細胞の本隊といえるのは白血球で、中でもリンパ球細胞のT細胞、B細胞、NK細胞が中心的な役割を果たしています。T細胞はそれぞれの機能に応じてナイーブT細胞から、ヘルパーT細胞、キラーT細胞などに分化します。ヘルパーT細胞は病原体(抗原)の情報を受け取ると、同じくリンパ球細胞のB細胞に抗体を作るように指令を出し、抗体作りを助けます。ヘルパーT細胞もその出所や働き方に応じてさまざまな名前がありますが、まだ、実際にどう働いているのかが明らかになっていないヘルパーT細胞もあります。

免疫・アレルギー科学総合研究センターと東京理科大学の研究者らは、ヘルパーT細胞の中でも、アレルギー反応の中心的なIgE抗体産生に関与するヘルパー2型細胞に注目していました。このヘルパー細胞は、情報伝達物質であるインターロイキン-4「IL-4」を産生してB細胞のIgE抗体産生を促します。一方、B細胞はリンパ濾胞にある中心胚と呼ばれる場所で抗体を産生しており、その場所に局在するリンパ濾胞型ヘルパーT細胞「TFH細胞」というヘルパーT細胞の存在が知られていました。この細胞は、過去の研究からL-4を産生し抗体産生の制御に関する重要な因子として知られていましたが、 Th2細胞とTFH細胞の関係は不明のままでした。

そこで、研究者らは、TFH細胞がどのように作られ、どのように抗体作りに関わっているのかそのメカニズムの解明に挑みました。その結果、リンパ濾胞内に存在するTFH細胞は、非転写制御領域のCNS-2によってIL-4産生が制御されていることが分かり、その制御メカニズムは、アレルギー反応に関わるTh2細胞のIL-4産生のメカニズムとは異なることも明らかにしました。これまで、アレルギー反応に関わるIgE抗体は、Th2細胞より産生されるIL-4によって制御されると考えられていましたが、今回の発見はTFH細胞が産生するIL-4によりIgEも他の抗体と同様に制御されることが示されました。また、TFH細胞は、リンパ濾胞内でナイーブT細胞が抗原刺激を受けることによって分化することも分かりました。

現代社会においてインフルエンザなどの感染症への対策は大きな課題です。この成果は、より明確な抗体産生の理解や新しい視点からのワクチンの開発につながるものと期待できます。

理化学研究所
免疫・アレルギー科学総合研究センター
シグナル・ネットワーク研究オープンラボ
客員主幹研究員 久保 允人(くぼ まさと)
(東京理科大学生命科学研究所分子病態学部門教授 兼務)
Tel: 045-503-7047 / Fax: 045-503-7046