広報活動

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2012年3月1日

独立行政法人 理化学研究所

気分測定システム「KOKOROスケール」を開発

-東日本大震災前後の「こころの動き」を調査-

東日本大震災による「気分」の落ち込みと回復

人の気分や心模様は移ろいやすいもの。 “女心と秋の空” のごとく、時々刻々と変化します。外部環境からも影響を受けます。その時の会社の気分、街の気分、さらには日本全体を覆う気分によっても変わります。こんな微妙な「こころの動き」を正確にとらえて数値化したものを、住民サービスや消費者心理の把握に活用したい-というニーズが高まっています。しかし、これまでの心理調査では記述式や選択式の調査票が使われていて、直感的な感覚をそのまま表記しづらく、選択肢も微妙な感覚の差を表現するには足りないため、数値化が難しくて数理学的な統計計算には不向きでした。

分子イメージング科学研究センターの研究者らは、心理的な変化を定量的なデータとして扱えるシステムの開発に取り組み、 二次元空間の中に「安心感」と「不安感」、「ワクワク感」と「イライラ感」などの気分尺度を横軸および縦軸にした4象限のマトリクス「KOKOROスケール」を開発しました。調査対象者はその時点の気分、例えば「それほどワクワクはしないけど安心している」なら、右上の象限やや下に記入すればいいわけです。そのデータを解析し統計情報に置き換えて定量化するシステムです。入力はタッチパネルでも可能で、タブレットやスマートフォンのアプリとしても対応予定です。

東京在住の主婦を対象に、2011年2月8日から3月24日にかけてKOKOROスケールを使った調査を行いました。その間に偶然、東日本大震災が発生し、連日の震災関連報道や計画的停電などが気分に与える影響をデータとして取得する結果となりました。データ解析の結果から、震災前(平常時)は、起床時に少し不安感があり昼が近付くにつれ不安感が低下、ワクワク感が上昇する傾向などがつかめました。しかし、3月11日以降は、平常時のデータでは見られなかった急激な安心感の喪失と不安感の増大、さらにワクワク感の喪失とイライラ感の増大を確認しました。気分の落ち込みは震災発生直後がピークで徐々に回復し、統計計算上2週間から1ヶ月で震災前の気分状態に戻っていたとの予測結果となりました。

KOKOROスケールは、個人の気分変化の特徴だけでなく性別・年代別、集団としての心理傾向なども詳しく把握することができます。脳科学、心理学研究やメンタルヘルス対策への応用にも期待できます。

理化学研究所
分子イメージング科学研究センター
細胞機能イメージング研究チーム
チームリーダー 片岡 洋祐(かたおか ようすけ)
Tel: 078-304-7115 / Fax: 078-304-7188