広報活動

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2012年3月26日

独立行政法人 理化学研究所

川崎病の発症に関わる3つの遺伝子領域を新たに発見

-白人集団と遺伝的要因に違いがあることを示唆-

乳幼児を中心に発症する「川崎病」は、水俣病のように発症があった地域から名付けられたのではなく、1967年に、当時日本赤十字社医療センターの小児科医だった川崎富作博士(現川崎病研究センター理事長)によって報告されたため、川崎病と名付けられました。全身の中小の動脈に生じる発熱性疾患で、先進国の小児の後天性心疾患の原因ではトップに位置しています。いまだに原因となる菌やウイルスは特定されていませんが、日本をはじめ韓国、台湾など東アジア人に発症例が多いこと、家族内での発症が多いことから遺伝的要因が関与していると考えられています。

ゲノム医科学研究センターの研究者達は遺伝的要因からの研究を開始し、2007年と2010年に川崎病に関わる遺伝子をそれぞれ1つずつ発見しています。今回、さらに遺伝的要因を明らかににするため、川崎病患者428人と非患者3379人を対象に、ヒトゲノム全体に分布する約47万個の一塩基多型(SNP)のゲノムワイド関連解析(GWAS)を行いました。加えて、川崎病との関連の傾向が認められたSNPの中の上位100個を選び、別に収集した2つの集団で関連の再現性を検証しました。その結果、新たにFAM167A-BLKCD40HLAという3つの遺伝子領域のSNPが川崎病と強く関連することが分かりました。

このうちFAM167A-BLKCD40の遺伝子領域は、成人期に見られる関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患の発症との関連が知られている領域と一致しました。また、2011年に別の研究グループが白人集団を対象に実施したGWASでは、HLAの遺伝子領域と川崎病の関連は見られなかったことから、人種によって関連する遺伝子要因に違いがあることも示しました。

今回の成果は、不明な部分が多い川崎病の病態の理解や新たな治療法の開発に加え、川崎病の発症が東アジア人に多い理由の解明につながるものと期待できます。

川崎病の発症しやすさに関するゲノムワイド関連解析の結果

理化学研究所
ゲノム医科学研究センター 循環器疾患研究チーム
チームリーダー 田中 敏博(たなか としひろ)
客員研究員 尾内 善広(おのうち よしひろ)
Tel: 045-503-9347 / Fax: 045-503-9289