広報活動

Print

2012年3月26日

独立行政法人 理化学研究所

関節リウマチ発症に関わる9つの新規遺伝子領域を発見

-日本人関節リウマチ発症の関連遺伝因子をほぼ同定-

関節リウマチは自己のタンパク質に対する免疫異常で発症する代表的な自己免疫疾患です。国内に約50万人の患者がいるとされ、遺伝因子や喫煙などの環境因子が発症の原因して知られています。遺伝因子では遺伝子の塩基配列の多様性である遺伝子多型が、かかりやすさに影響を与えているとされています。関節リウマチ発症に関わる遺伝因子はこれまで複数報告されていましたが、個々の遺伝因子が発症に与える影響は非常に小さく、個別の研究では明らかにできない遺伝因子も多いと考えられていました。これを明確にするため、ゲノム医科学研究センターの研究者らは内外の研究者と共同で、対象者数約4万8000人という過去最大規模で、日本人関節リウマチ発症の関連遺伝因子解析(メタ解析)を包括的かつ網羅的に行いました。

まず、これまで日本人で行われた3つのゲノムワイド関連解析(GWAS)の約2万1000人分のデータを用いて、発症に関連する一塩基多型(SNP)を探索しました。次に、このSNPについて追認解析を行うため、別の患者集団と非患者集団(合計約2万7000人)と比較して、再現性を確認しました。その結果、新しい遺伝子領域として9つの領域のSNPを発見しました。すでに報告されている36の遺伝子領域についても再評価し、新発見の9領域と合せて23の領域が日本人の関節リウマチ発症に関与しており、そのうち15の遺伝子領域が欧米人と共通であることが分かりました。これで、日本人の関節リウマチ発症の関連遺伝因子をほぼ同定しました。また、新たに見つかった9つの遺伝子領域の中にはバセドウ病発症などにも関わる領域があり、関節リウマチの原因となる遺伝子領域と他の自己免疫疾患の領域が一部で共有されていることも明らかになりました。

関節リウマチの治療法の効果は患者によって異なり、治療が十分に効かない場合もあります。それは、遺伝因子と環境因子の組み合わせが個々の患者で異なるためと考えられています。今回、明らかになった遺伝子を狙って抑えることで、個人に合った副作用の少ない効果的な治療法の開発につながることが期待できます。

日本人関節リウマチにおけるゲノムワイド関連解析のメタ解析結果

理化学研究所
ゲノム医科学研究センター 自己免疫疾患研究チーム
上級研究員 高地 雄太(こうち ゆうた)
チームリーダー 山本 一彦(やまもと かずひこ)
Tel: 03-5800-8828 / Fax: 03-5800-8828