広報活動

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2012年6月25日

独立行政法人 理化学研究所
公益財団法人 高輝度光科学研究センター

日本発「コンパクトXFEL」SACLAの有用性、世界が認識

-これからのXFEL施設開発のガイドラインに-

X線レーザーのスペクトル

原子や分子の瞬間的な動きを直接観察できるX線自由電子レーザー(XFEL)は、 原子レベルでの構造や機能の理解を促します。これまで定性的な理解にとどまっていたさまざまな現象に新たな「光」をあて、新しい科学、新しい技術の創生につながると期待されます。こうした中、日本発のXFEL施設「SACLA(さくら)」の優れた性能と、コンパクトな施設を実現したユニークな設計(思想)が高く評価され、英国の科学雑誌「Nature Photonics」8月号に掲載されることになりました。世界がSACLAの有用性を科学的に認めたことになります。

SACLAは、2011年10月に、それまで米国のXFEL施設が持っていた世界最短波長の記録1.2Åを半分に短縮する0.63ÅのX線レーザーの生成に成功しました。また0.63~3Åという幅広い波長範囲、10GWの高いピーク出力など、高い性能を実現しています。さらに、こうした世界最高レベルの性能を有しながら、サイズは全長700mと欧米のXFELの2~4kmに比べ大幅なコンパクト化に成功しているのが特徴です。

XFELは、X線がもつ波長の短さと高い空間分解能、レーザーがもつコヒーレント(光波の山と山、谷と谷がそろった)なきれいな光という、それぞれの特徴を併せ持つ光です。例えば、これまで放射光X線では、タンパク質分子は結晶化しないと構造を見ることができませんでしたが、XFELを使えば1個の分子でもそのままで見られるようになります。また、パルス長が30フェムト秒(1フェムト秒=10-15秒)以下と非常に短く、超高速のストロボ写真のように、非常に速い化学反応をパラパラ漫画のように見ることができます。

SACLAの成功により、コンパクトXFELの概念を採用したXFEL開発計画が各国で立ち上がっています。SACLAはコンパクトXFEL施設開発をリードするガイドラインとしての地位も確立したといえます。