広報活動

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2012年10月11日

独立行政法人理化学研究所

遺伝子多型を組み合わせ日本人のための前立腺がんリスク診断法を開発

-従来の前立腺がん検診を補足し、より身体への負担が少ない診断方法の確立へ-

PSA検診後にSNP検査を導入することで個々人に適応した検査を提案

最近、日本人男性で急激に増加しているがんの一つとして前立腺がんが挙げられています。その診断法ではPSA検査が一般的な住民健診メニューとしても広く普及していますが、問題点も指摘されています。それがグレーゾーンと呼ばれている領域(血清PSA値が4~10ng/ml)での検査精度の悪さです。

グレーゾーンはPSA検査で「前立腺がんの疑いあり」とされる領域で、通常2次検査を行っています。前立腺組織を10数箇所も針で採取するという身体への負担が大きい検査を受けることになります。この検査では、そのうち20%だけががんと診断されています。つまり残りの80%はその検査が不要だと見られているのです。

一方、これまでのヒトゲノム解析で、前立腺がんの発症に関わる一塩基多型(SNP)は50種以上発見されています(うち9種は研究グループが発見) 。理研の研究者を中心とした研究グループは、その中から日本人の前立腺がんと強く関連する16種のSNPを組み合わせて、日本人のための前立腺がん発症のリスク診断法を開発しました。この診断法を使ってグレーゾーンの男性群を対象に発症リスクを計算したところ、4分の1は前立腺がんの発症リスクが10%未満という結果を得ました。この4分の1の男性は、身体的な負担が大きく合併症の危険を伴う、針による細胞採取を避けられる可能性があります。

また、開発したSNP検査を用いるリスク診断法は、PSA検査とは別の指標で評価するため検査結果が重複することがありません。このためPSA検査と併用することで、前立腺がん検診の個別化を図り、PSA検査による前立腺がん検診をより効率的に運用することが期待できます。

理化学研究所
ゲノム医科学研究センター バイオマーカー探索・開発チーム
チームリーダー 中川 英刀(なかがわ ひでわき)