広報活動

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2012年10月22日

独立行政法人理化学研究所
国立大学法人東京工業大学

多種多様なRIビームのスピンを操作する新手法を開発

-2段階のRI 生成反応であらゆるRIビームに対してのスピン操作と大強度化を実現-

新手法「分散整合2回散乱法」適用時の実験レイアウト

「スピン」といえばフィギュアスケートのビールマンスピンが思い浮かびますね。自動車がスリップして起きるのもスピンです。一方、原子や電子、原子核などのミクロな粒子において「スピン」とは、このような自転運動ではなく、それらの“方向”を定義する物理量を表します。

スピンを自在に操作できれば、現代科学を飛躍的に進歩させることが期待できます。放射性同位元素のビーム(RIビーム)を使ってRIの未知の性質を解明するためには、原子核のスピン(核スピン)の向きが一定方向にそろったRIビームが必要とされます。

核スピンの向きを整えるにはビーム成分のうち不要なものを排除するのですが、より完全にそろえようとすると、必要な成分まで排除してしまい核スピンのそろったRIビームを大量に“収穫”できません。

仁科加速器研究センターの研究者らは、こうした課題を克服した新手法 「分散整合2回散乱法」を開発しました。 RIの生成反応を2段階にしてスピンの操作効率の向上を図り、さらに1回目の核反応で速度が大きく分散した二次RIビームに対し、色消しプリズムのように分散を消失させるよう、目的の三次RIビームを生成・輸送することで、二次RIビームの全ての速度分布領域から有効成分だけを抽出する方法です。これにより、生成過程で起きるロスを極力少なくし、より多くの核スピンがそろったRIを得ることが可能となりました。これを用いた実証実験では、核スピンの操作効率と収量で決まる有効な核スピン操作の測定効率が、従来に比べ50倍以上になることが分りました。あらゆる種類のRIビームに「核スピン整列」という新たな可能性を付加する成果であり、新たな核スピンの供給源として物質科学への応用も期待できます。

理化学研究所
仁科加速器研究センター 偏極RIビーム生成装置開発チーム
チームリーダー 上野 秀樹 (うえの ひでき)