広報活動

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2012年11月10日

独立行政法人理化学研究所

植物細胞の大きさを決める仕組みの一端を解明

-有用作物の増産に向けて大きな前進-

GTL1を過剰に発現させると植物体は矮小化する

植物はそれぞれ形状や大きさが異なり、環境に適応して生きています。大きくなり過ぎたり小さすぎたりすると“身の丈に合った生活”ができなくなり、種の保存も難しくなります。だから自分でコントロールする必要があります。何となく身につまされるような気もしますね。「草食系」ってわけではありませんが…。

グループは、これまでの研究でGTL1という転写調節因子が細胞の成長を抑制することが分かっていたので、さらに「GTL1が具体的にどう機能するのか」という課題の解明に取り組みました。

まず、 モデル植物であるシロイヌナズナを用いた全ゲノム分析を行い、GTL1によって直接に転写制御を受ける182個の関連遺伝子を見つけました。植物の細胞成長には、細胞分裂を経ずに染色体が複製されて2倍、4倍と増えていく染色体倍化現象によってDNAが増加することが、深く関わっているとされています。共同研究グループは、182の関連遺伝子の中でも染色体の倍化を促す遺伝子であるCCS52A1の発現をGTL1が抑え、細胞の成長を止めていることを初めて突き止めました。また、GTL1遺伝子の発現量を制御して細胞の成長の抑制・促進を行い、細胞の大きさを自由に変えることにも成功しました。

今回の発見で植物の細胞成長が一方的に促進されるのではなく、適度に制御されていることが分りました。GTL1や関連する因子をさらに詳細に解明していけば、植物が成長と抑制の微妙なバランスで厳密に調整されている仕組みが明らかになるでしょう。また、GTL1の発現を特定の部分で減少させることで、農作物やバイオマス植物などの増産が可能になると期待できます。

理化学研究所
植物科学研究センター 細胞機能研究チーム
チームリーダー 杉本 慶子(すぎもと けいこ)
特別研究員 小牧 伸一郎(こまき しんいちろう)