広報活動

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2012年12月14日

独立行政法人理化学研究所

植物の炭疽病に関与する遺伝子群候補を同定

-イチゴ炭疽病菌とウリ類炭疽病菌の全ゲノムを解読-

イチゴの葉・イチゴの実・イチゴの葉の顕微鏡写真

安くて、おいしい野菜や果物を、安心して食べたいものですね。それには病害からいかに農作物を守るかが大事になります。農薬を極力使わずに、かつ安定した収穫ができる農作物の保護戦略の確立が今、求められています。農作物の病害の8割ほどは植物病原糸状菌(カビ)によると言われ、とりわけ炭疽病は600種以上の農作物で確認されています。日本ではイチゴ炭疽病菌とウリ類炭疽病菌による被害がとくに大きいそうです。

理研の研究者を中心とする共同研究グループは、遺伝子レベルで炭疽病の発病のメカニズムを解明することに取り組みました。イチゴ炭疽病原菌とウリ炭疽病原菌の全てのゲノムを次世代シーケンサー(DNA配列解読装置)などの先端機器を駆使して解読し、感染時に発現する遺伝子を調べました。その結果、植物の炭疽病を引き起こす病原性に関わる遺伝子群の候補を同定することに成功しました。また、イチゴ炭疽病菌では、植物の成長に関わる機能を持つ遺伝子を、他の細菌から獲得することも発見しました。さらに、炭疽病菌は異なる時期にそれぞれ特異的なな遺伝子を発現し、2つの異なる感染ステージを形成していることが分りました。

この成果は、持続的で環境にやさしい新たな炭疽病防除法の開発につながります。また、DNA鑑定による正確な炭疽病診断も可能となります。農薬耐性菌の選別、新機農薬のターゲットとなる病原に関わるタンパク質の選定、炭疽病菌に強い作物への品種改良などにも貢献すると期待できます。

理化学研究所
植物科学研究センター 植物免疫研究グループ
グループディレクター 白須 賢(しらす けん)