広報活動

Print

2013年1月22日

独立行政法人理化学研究所
国立大学法人九州工業大学

未知のゲノム領域にペプチド大陸が存在

-短い遺伝子の中に形態形成に関わるものが高確率で存在することを示唆-

新規に推定した短い遺伝子の33の条件下でのRNA発現図

新規に推定した短い遺伝子の33の条件下でのRNA発現

右上が日射時間や当てる光の違いによる8つの異なる光条件、右下が乾燥、塩害などの植物に与える9つの異なるストレス条件。RNA発現の強度を色で表し、赤色ほど非常に強い発現を、黄色になるほど弱い発現を示す。

生命現象を理解するには、全てのDNA配列(ゲノム)を解読し、かつ個々のDNA配列の機能や役割を検討する必要があります。さらに細胞の主要成分のタンパク質はアミノ酸がつながってできていることから、アミノ酸配列をコードする遺伝子領域を発見することも重要です。しかしこれまでは、アミノ酸配列をコードするのは長い遺伝子と考えられ、短い遺伝子は注目されませんでした。

しかし、最近になって100個以下のアミノ酸配列でできているサイズの小さなタンパク質である「ペプチド」をコードする短い遺伝子が見つかり、生命の維持に必要な機能をもっていることが明らかになってきたことで、その解明のスピードが一気に上がってきました。

こうした中、共同研究グループは、情報の解析を通じて既知の遺伝子が存在しないところで短い遺伝子の存在を予測する方法を開発しました。実際に、この手法により、研究によく使われるシロイヌナズナの未知のゲノム領域から、ペプチドをコードする7,000個以上もの短い遺伝子を発見しました。さらに、これらの遺伝子の一部はシロイヌナズナの形態形成に関わっていることも確認しました。この結果は、まだ発見されていない短い遺伝子の中に、形態形成に関わるものが多数存在している可能性を示します。

今後、短い遺伝子がコードするペプチドの中から生産性や耐環境性に関わるものが発見できれば、そのペプチドを利用してバイオマスエネルギー分野や農業分野で大きな貢献を果たす可能性があります。また、動物にも数多くの生命維持に関わる短い遺伝子の存在が予想され、医療を含むさまざまな分野への展開が期待できます。

理化学研究所
植物科学研究センター 機能開発研究グループ
客員研究員 花田 耕介(はなだ こうすけ)
国立大学法人九州工業大学
若手研究者フロンティア研究アカデミー 准教授

国立大学法人九州工業大学 若手研究者フロンティア研究アカデミー
准教授 花田 耕介(はなだ こうすけ)