広報活動

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2013年4月4日

独立行政法人理化学研究所
国立大学法人京都大学
学校法人日本大学
国立大学法人東京大学

ブラックホールに落ち込む最後の1/100秒の解明へ

-ガスが最後に放つ高エネルギーX線を初めて捉えた!-

「はくちょう座 X-1」 ブラックホール連星

「はくちょう座 X-1」 ブラックホール連星の想像図(イラスト:佐藤暁子)

強力な重力のため、光さえも飲み込んでしまうという暗黒の天体「ブラックホール」は、実在するのでしょうか?状況証拠こそ集まってきたものの、じつは今でも、直接的な観測証拠はありません。1971年、今から40年ほど前に「はくちょう座X-1」という、X線で明るく光る不思議な天体が発見されました。X線強度が秒以下の短い時間で変動することや、太陽の数倍以上の質量を持つこともわかりました。短い時間でX線が変動することは、X線を出す領域、すなわち天体が極めて小さいことを意味します。こうして、「はくちょう座 X-1」 はブラックホール候補天体となりました。

はくちょう座X-1は連星系の中にあります(図)。ブラックホールは、連星系の相手の恒星の周囲のガスを引き込みます。引き込まれたガスはブラックホールの周りをぐるぐる回る円盤をつくり、最終的にブラックホールに落ち込みます。ガスは、ブラックホールに落ち込む時高温になりX線を出します。このX線をうまくキャッチすることにより、ブラックホールの周囲を詳しく“観察” できるのです。

理研の研究者らは、X線観測衛星「すざく」に搭載された高感度の「硬X線検出器」を用い、「重ね合わせショット解析」というX線強度や色(波長)の細かな変動が測定できる独自の手法を適用し、ガスがブラックホールに落ち込む最後の100分の1秒間に10億度以上まで急激に加熱されることを発見しました。もし中心天体に表面があれば、表面からの放射がガスを冷やすため今回の観測を説明できません。したがって本観測は、中心に「表面のない天体」、つまりブラックホールがあることを意味します。ブラックホール存在の直接証明に一歩近づいた成果といえます。

理化学研究所
仁科加速器研究センター 玉川高エネルギー宇宙物理研究室
基礎科学特別研究員 山田 真也 (やまだ しんや)