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2013年5月1日

理化学研究所

分子シャペロンがアミロイドβ凝集を抑制し低毒化することを発見

-アルツハイマー病の原因分子の謎解明に重要な手掛かり-

抗体染色像とPFD発現量の図

図 アルツハイマー病モデルマウスと通常マウスにおけるPFD発現量の比較

他のタンパク質が正しく折り畳まれて機能するのを手助けするタンパク質を分子シャペロンといいます。シャペロンとは元来、若い女性が社交界デビューする際に付き添う女性を意味するそうです。科学の世界で何ともしゃれたネーミングですね。

理研の研究者を中心とするグループは、分子シャペンロンの1つである「ヒト型プレフォルディン(PFD)」が、アルツハイマー病の原因とされるアミロイドβの凝集を抑え、低毒化していることを発見しました。

研究グループは、アルツハイマー病を発症させたモデルマウスを使って、脳内でのPFDの発現状態を調べました。すると通常マウスより多くのPFDを発現していることが分かりました。次に、PFDがアミロイドβに及ぼす影響を調べるために、大腸菌で作製したヒト型PFDとアミロイドβを試験管内で培養したところ、アミロイドβの凝集が抑制され、可溶性オリゴマーを形成していました。そこで、可溶性オリゴマーの細胞に対する毒性を調べてみた結果、毒性が低いことが分かりました。

最近のアルツハイマー病研究では、可溶性オリゴマーの毒性が高い場合と低い場合の両方の報告があり、毒性の由来も不明でした。これを解明するため、研究グループは、今回調べた毒性の低い可溶性オリゴマーと、過去に報告されている毒性の高い可溶性オリゴマーを比較したところ、抗体からの認識のされ方が異なっていました。この結果は、オリゴマーの表面構造が異なることを示しており、表面構造の違いが毒性を持つか持たないかのカギである可能性が高いことが分かりました。

今後、生体内でのPFDの働きをさらに詳しく解明できると、アルツハイマー病の新しい治療法開発につながると期待できます。

理化学研究所
主任研究員研究室 前田バイオ工学研究室
専任研究員 座古 保(ざこ たもつ)
(元 基幹研究所 前田バイオ工学研究室)