広報活動

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2013年5月2日

独立行政法人理化学研究所
国立大学法人岡山大学

タンパク質とミネラルの挙動を同時にイメージング

-ミネラル欠乏症などを解明する新たな研究手法に期待-

タンパク質とミネラルの挙動を同時にイメージング

図 GREI-Ⅱによるがん細胞移植マウスの64Cu標識抗体・亜鉛同位体の同時撮像

現代の日常生活では、私たちが自然の一部であると感じる機会は少なくなってきているのではないでしょうか?私たちの体は酸素や炭素などの元素から構成されていますが、実はそれ以外に、地球上に存在するほとんどすべての元素が体内にも存在するそうです。その中にはミネラルと呼ばれる生命の維持に欠かせない元素が含まれていて、微量にしか存在しない金属などが重要な役目を担っていることが知られています。生命には、自然から獲得した巧妙なしくみがあるようです。

理研の研究者は、体内に微量に存在する金属元素の動きを調べることで、これまで解明が難しかった病気の原因究明や、複雑な生命現象の理解を可能にする新しい手法の研究開発に着手しました。体内では、タンパク質や酵素など細胞が作る分子がさまざまな機能を担っていますが、その分子の機能の調節などの重要な役割を、微量の金属元素が果たしていることが分かっています。病気の原因となる分子の異常と、その分子の機能を調節している金属元素の挙動は関係している可能性が高く、両者を同時に捉えることができれば、体内の異常を高感度に検出する指標となることが考えられます。

微量の金属元素の体内での動きを調べるには、その元素の放射性同位体を用います。理研は2008年に、生体に投与した複数の放射性薬剤を同時に可視化できるガンマ線イメージング装置「GREI」を開発しました。今回、その改良型である「GREI-II」を開発し、撮像時間を10分の1以下に短縮することに成功しました。GREI-IIを用いた実験の結果、金属元素の放射性同位体の動きと共に、特定の分子の状態を調べることができるPET(陽電子放出断層画像法)用の放射性薬剤も同時に可視化する新しい手法の可能性を示すことに成功しました。研究チームでは、今後もGREI-IIを用いた新手法の有効性の検討などを継続し、創薬・医療に有用なライフサイエンス技術としての実用化を目指します。

理化学研究所
ライフサイエンス技術基盤研究センター 次世代イメージング研究チーム
チームリーダー 榎本 秀一(えのもと しゅういち)
副チームリーダー 本村 信治(もとむら しんじ)