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2013年5月8日

理化学研究所

ゴカイが持つ無限の再生能力の仕組みを解明

―体節からの増殖シグナルが新たな体節形成を誘導、強力な再生能力を裏付け―

イソゴカイの走査電子顕微鏡写真

イソゴカイの成体

ゴカイは、ミミズやヒルなどの仲間で環形動物に属します。たくさん種類がありますが、中には「アフロディーテ(ギリシャ神話の美の女神)」と呼ばれるものもいるそうです。チョット気持ち悪いというゴカイのイメージはゴカイでした、なんて…。さて、今回の研究は、同じゴカイでも美の女神の容姿とは程遠い?「イソゴカイ」が対象です。

理研の研究者らのグループは、ゴカイが成体になった後でも再生能力をもつことに注目し、イソゴカイの体を構成する繰り返し構造の「体節」を詳細に調べました。体節の細胞がどこから生まれるかを観察したところ、傷ついた部分が修復された後、切れ残った体節の尾側に細胞の増殖領域が出現し、細胞が順序よく追加されて新しい体節が完成することを発見しました。また、この増殖領域を制御するシグナルタンパク質は、既存の体節が発するものと分かりました。

繰り返し構造の体節をもつ他の脊椎動物や節足動物では、発生期にある胚が伸長していく最先端部に増殖領域ができ、そこから体節の細胞が供給されます。この場合、胚発生後には増殖領域が失なわれるため、イモリのシッポなど一部の例外を除き体節の再生能力はありません。

つまり、ゴカイの体節形成は、「既存の体節」から発信されるシグナルが再生中の体節に形成される細胞増殖を制御し、次々と体節をつなげていくのです。これが成体になってからもゴカイが再生能力をもつ理由です。こうした増節の仕組みは、1927年にドイツの発生学者マンゴルドとシュペーマンが発見した「相同形質誘導」が、再生の場面でも見いだされた最初の報告になると考えられます。

理化学研究所
発生・再生科学総合研究センター 形態形成シグナル研究グループ
グループディレクター 林 茂生 (はやし しげお)