広報活動

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2013年5月9日

理化学研究所

マイクロ流体チップに使う小型電動バルブを開発

-0.01cm3以下と超小型で0.7秒の高速応答のバルブを組み込む-

今回開発したチップに組み込んだバルブのデザイン

図 チップに組み込んだバルブのデザイン

数cm角の小さな基板上に幅・深さ1mm以下の流路を精密加工したマイクロ流体チップは、溶液の混合、反応、精製、検出などの工程を1つのチップ上に集積した小型・省エネ・高速化が図れるデバイスです。バイオ分析や化学分析システムの超小型化が図れます。

マイクロ流体チップ上の流体を制御するには、非常に小さなバルブが必要です。これまでのマイクロ流体チップでは、コンプレッサやポンプなどで空圧を発生させ、樹脂の膜を動かして開閉するバルブが利用されていました。しかし、空圧発生源がチップに搭載するには大き過ぎ、さらに音や振動も激しいという難点があり、小型なデバイスには不向きでした。

理研の研究者らは、体積が0.01cm3以下という超小型バルブの開発に取り組みました。電圧を加えると大きく変形する特殊な電動ポリマーに着目し、バルブ材料に採用しました。電動ポリマーは電極を挟み込んで上下方向に電圧を加えると上下方向に縮み、横方向に伸びる性質があります。これをドーム上に成型したシリコンゴム膜上に置き、横方向を固定して電圧をかけると下方に変形するようにして流路をふさいだり閉じたりできる超小型の電動バルブとする構造としました。これを、直線状の流路を持つガラス製のマイクロ流体チップの中央部に組み込みました。

実際に、蛍光の微小ポリスチレン粒子を入れて可視化した流体を流し、蛍光顕微鏡でバルブの機能を確かめたところ、超小型電動バルブを0.7秒という応答速度で開閉し、スムーズに流体を流したり止めたりできました。システム全体を非常にコンパクトにできるため、小型医療診断装置や生化学実験ツールなど持ち運び可能なデバイスへの応用が期待できます。