広報活動

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2013年5月22日

理化学研究所

環状mRNAを用いてエンドレスなタンパク質合成に成功

-ローリングサークルタンパク質合成手法を開発-

合成した環状mRNAとリボソームと126塩基のmRNA複合体のモデル

合成した環状mRNA(A)とリボソームと126塩基のmRNA複合体のモデル(B)

生体を構成するタンパク質は、細胞核内にある遺伝情報をもとに合成されます。合成過程ではDNAがメッセンジャーRNA(mRNA)に転写され、続いてmRNAの配列がアミノ酸に変換されて、それが複数連なることで1つのタンパク質が完成します。

この合成反応をエンドレスに続けられないか?と考えたのが理研の研究者らを中心とするチームです。いわば「永久タンパク質合成工場開発プロジェクト」になります。研究チームは大腸菌を用いて効率のよいタンパク質合成手法の開発に挑みました。

大腸菌のタンパク質合成反応は直鎖状のmRNAを鋳型として起きます。まず、mRNAの配列情報を読み取ってタンパク質を合成するリボソームという複合体がmRNAの先頭に結合し、開始コドンから合成が始まります。そして終止コドン(コドンはタンパク質を作るアミノ酸を指定する3つの塩基で構成され、終止コドンはアミノ酸を指定しません)に到達して反応が終わります。終了するとリボソームはmRNAから離れ、次の反応のための結合に向かいます。

実は、このリボソームの解離から次の結合までがタンパク質合成反応で最も時間がかかる過程なのです。研究チームはこの過程をスキップすればエンドレス化が可能と考え、終止コドンを取り除いた環状のmRNAを作製しました。この環状mRNAを評価した結果、直鎖状mRNAと比較して単位時間当たり約200倍という高効率で、タンパク質の合成反応が進むことが分かりました。今回、開発した手法は、長鎖タンパク質のコラーゲンやシルクを人工合成する手法など、多様な応用が期待できます。

理化学研究所
主任研究員研究室 伊藤ナノ医工学研究室
専任研究員 阿部 洋 (あべ ひろし)