広報活動

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2013年12月5日

理化学研究所

クラウドを利用した画像データの新基盤システム「ICP」を開発

-3D画像処理と大規模データの共有化システムの試験運用を2014年1月から開始-

3次元画像処理例

安価で一般的な端末を介しての3次元画像処理例

クラウドという言葉を最近よく耳にします。しかし、クラウドは、あくまで情報処理の利用形態であって、取り立てて新しい概念でもなく、新技術でもありません。これまで開発されたWeb技術やアプリケーション、ハード、サービスなどをひとくくりにしたものとも言えます。コンピュータ処理をネットワーク経由で提供するサービスは1960年代からありましたし、インターネットを利用してソフトウェアを提供する「SaaS」や、ネット上にサーバやデータベースを置いて、あたかもユーザ側の機能として利用できるようにする仮想プラットフォーム型の「PaaS」などもありました。しかし、クラウドは多くのベンダーから支持を受けて定着し、今では何の違和感もなく使われています。2006年にGoogleのCEOが提唱したそうですが、まさにネーミングの勝利ですね。

さて、自然科学や医療、工学の分野では、観察や計測の実験データは画像データで取得することが一般的になっています。得られた画像データを解析したり、研究グループ内で共有情報として管理したりすることが、プロジェクトや共同研究で新しい知識を得たり、理論や数理モデルの正当性を得るために重要になっています。しかし、画像データを共有して解析・管理するためには、それぞれの研究室ごとに高性能コンピュータや高価なソフトウェアを用意する必要があります。

理研の研究グループは、これまで3次元画像やシミュレーションモデルへの変換機能を持つ、独自の画像処理システム「VCAT」を開発してきました。GUI(グラフィカル・ユーザー・インタフェース)に優れ、研究者にとって使いやすいシステムです。研究グループは、このシステムをクラウド環境で活用できるように拡張し、画像データの解析と共有管理ができる新たな画像処理の基盤システム「ICP(イメージ・コミュニケーション・プラットフォーム)」を開発しました。ICPでは、計算負荷が大きな3次元画像処理や大規模データの共有管理をタブレット(パソコン)など安価な端末で行えるように、①必要な時だけ画面を送受信する②画面を分割して必要な部分だけを送受信する③画面操作中は送受信する画面の画質を下げ、終了後に画質を上げる、などの機能を持たせました。また、画像処理の履歴に基づいて処理の前後の関係を保存する機能や、過去の画像処理の履歴を別の画像データに対して適用し直す機能も備えています。

こうした機能によって、各研究室は必要なときに新たな投資をすることなしに、客観的な結果を得ることができるようになり、低コストで高度かつ効率的な画像処理が行えます。

理化学研究所
光量子工学研究領域 エクストリームフォトニクス研究グループ 画像情報処理研究チーム
チームリーダー 横田 秀夫 (よこた ひでお)