広報活動

Print

2014年3月10日

理化学研究所

新しいバイオインフォマティクス・ツール「ZENBU」を開発

―ゲノム上の数千もの転写活性を視覚化、解析し、データを共有―

DNAの配列を決定するサンガー法が開発されたのが1977年。それから37年を経た現在では、初期に採用していた方式とは異なる原理の方式で動く「次世代シーケンサー」が続々開発されています。中には、数千塩基以上の長いDNA配列を決定できるシーケンサーも出現しています。また、遺伝子解析手法の種類も多岐にわたり、技術の進展も急です。ゲノムワイドな転写産物や転写因子の結合領域の探索が可能になり、細胞機能や発生、がんなどの詳細なメカニズムの解明が期待されています。これに伴い、世界中の研究者が産出するゲノム機能に関わるデータ産出量が急速に増加しています。

分子メカニズムを理解するには、さまざまな手法から生み出される結果を統合し、比較することが重要となりますが、日々生まれる膨大な量のデータを比較・解析することは容易ではありません。このため、得られたデータから生物学的意義を探り出す作業に、多くの研究者が時間と労力を費やしているというのが現状です。

理研の研究者らを中心とした共同研究グループは、この問題を解消するために、既存のゲノム情報視覚化ツールや解析ツールにはない機能を持たせたゲノム機能解析ツール「ZENBU(ゼンブ)」を開発しました。ZENBUでは、膨大なデータを自由自在に組み合わせ、ゲノム上で特定の領域の発現シグナルを対話的 (インタラクティブ)に視覚化することで、リアルタイムな解析を支援します。これらの機能を1つのツールにまとめたのはZENBUが初めてです。

ZENBUには、米国国立衛生研究所が中心となって進めている全ヒトゲノムの百科事典の作成を目指す「ENCODE」計画や、理研が主導する哺乳類の遺伝子機能の網羅的な“地図”を作成する国際コンソーシアム「FANTOM」から得た6,000を超えるデータが登録されています。個々の研究者が自分の持つ実験データをそれらと比較研究することで、新しい実験テーマの創出につながると期待できます。ZENBUは、次世代シーケンサーなどで得られた数百万以上のゲノム配列データを一度に登録できるように設計されており、ツール名のZENBUもこれに由来しています。

ZENBUは公開され、インターネット経由で、無料で利用できます。また、ソースコードを利用者それぞれがインストールして利用することもできます。この場合、すべての利用者が相互接続することが可能となり、世界中の研究者が公開された実験結果を登録し共有することで、最先端の研究を共同で行う環境が整います。

理化学研究所
ライフサイエンス技術基盤研究センター 機能性ゲノム解析部門 LSA要素技術研究グループ ゲノム情報解析チーム
チームリーダー アリスター・フォレスト (Alistair Forrest)