広報活動

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2014年9月22日

独立行政法人理化学研究所
株式会社ダナフォーム

ヒトの大部分の一塩基多型(SNP)を検出するツールをカタログ化

-SNPなどを利用した個別化医療の実現へ大きな一歩-

DNAFORM SNP Assay Catalogue

公開したデータのイメージ

ヒトゲノムは、一人ひとりを比較すると塩基配列に違いがあり、集団内で1%以上の頻度で認められる塩基配列の違いを多型と呼びます。その多型で最も数が多いのが、一塩基の違いである「一塩基多型(SNP)」です。SNPなどの遺伝情報を活用することで、個人個人に最適な治療を提供する「個別化医療」が可能になるとされています。現在、ヒトゲノム上に疾病との関連が分かっているもの、未知のものを含め約6,000万箇所の SNPがあることが知られており、ヒトのSNPはほぼ出尽くしたと考えられています。

これまでに理研と株式会社ダナフォームは、SNPを高い精度での検出を可能する「PEM(PCR Eprobe Melting)法」という手法を開発してきました。PEM法には、SNPごとに短い人工核酸(プライマーとプローブ)が必要になります。このSNPごとのプライマーとプローブのセットを検討することが、研究をする上で手間となっていました。

理研と株式会社ダナフォームの共同研究グループは、PEM法に最適化した設計ソフトウェア「Edesign(イーデザイン)」を使って各SNPを検出するためのプライマーおよびプローブの最適な配列を計算しました。計算量は膨大で、一般的なデスクトップPCを使って計算すると8年程度かかるところ、理研の大規模PCクラスタを用いて並列計算した結果、わずか13日で計算することができました。計算の結果、配列固有の理由でプライマーやプローブが設計できないSNPを除いた約4,000万箇所をカタログ化することができました。カタログ化した約4,000万箇所のプライマーとプローブのセットの配列情報は、設計ソフトウェアのEdesignと併せて、ダナフォームのウェブサイトにて無償で公開しています。

今回、既知のヒトSNPの多くの部分をカバーするプローブとプライマーのセットの配列カタログが整備されたことで、PEM法の利便性が大幅に向上し、SNPに基づく個別化医療の実現に大きな前進をもたらすと期待できます。

理化学研究所
情報基盤センター 計算工学応用開発ユニット
センター研究員 須永 泰弘 (すなが やすひろ)