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2015年12月31日

理化学研究所

113番元素の命名権獲得

-元素周期表にアジア初、日本発の元素が加わる-

3例の113番元素の崩壊連鎖

図 3例の113番元素の崩壊連鎖

「元素周期表にアジア初、日本発の名前を書き込む」という日本の科学者の夢が、ついに叶う時がきました。理化学研究所仁科加速器研究センターの森田浩介グループディレクターを中心とする研究グループ(森田グループ)が発見した「113番元素」を、国際機関が2015年12月30日(日本時間31日早朝)、新元素であると認定しました。これに伴い、森田グループには、発見者として新元素の命名権が与えられます。欧米以外の研究者・グループに命名権が与えられるのは初めてです。

新たに発見が報告された元素を新元素と認めるかどうかの審議は、国際純正・応用化学連合(IUPAC)と国際純粋・応用物理学連合(IUPAP)が推薦する委員で組織された合同作業部会「JWP」が行います。森田グループは、2004年からこれまでに3度合成に成功した「113番元素」を新発見の元素と主張していました。一方、ロシアと米国の共同研究グループも別の手法によって113番元素を合成し、発見を主張していました。JWPは双方の研究結果が認定基準を満たしているかを審議し、森田グループが113番元素の発見者であるとIUPACに報告し、IUPACがそれを認めました。新元素名は、森田グループが提示する候補をIUPAC/IUPAPが審査し、妥当であると認めれば、約1年後に発表されます。

森田グループは、理研の重イオン加速器施設「RIビームファクトリー(RIBF)」の重イオン線形加速器を用いて、亜鉛(Zn:原子番号30)のビームをビスマス(Bi:原子番号83)に照射し、新元素の合成に挑戦してきました。2004年7月に初めて原子番号113の元素の合成に成功、その後2005年4月、さらに2012年8月と、3度合成に成功しています。

3度目の113番元素の同位体「113、質量数278」の合成を確認した際には、前の2度の合成とは異なる新しい崩壊経路をたどっていました。それまでの2度は113番元素が、連続4回のアルファ崩壊を起こし、その後2つの原子核に分裂(自発核分裂)しました。ところが、3度目の合成では、さらに2回、合計6回の連続したアルファ崩壊を確認しました。新元素の合成を証明するためには、その元素が崩壊した後、既知の原子核に到達することが重要です。森田グループは、6回のアルファ崩壊によってボーリウム、ドブニウム、ローレンシウム、メンデレビウムの既知の原子核に到達していることを観測しています。

これらによって、新元素認定で重要視される「既知の同位体への崩壊」が疑う余地なく確認されました。

理化学研究所
仁科加速器研究センター 超重元素研究グループ
グループディレクター 森田 浩介 (もりた こうすけ)