広報活動

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2016年1月28日

理化学研究所
東京大学
琉球大学

2型糖尿病に関わる新たな遺伝子領域を発見

-新たな治療薬開発の一助に-

図 本研究の概要

日本の糖尿病患者数は、予備軍を合わせると2,000万人にも上ると推計されています。まぎれもなく国民病といえます。日本人糖尿病患者の9割以上を占める「2型糖尿病」の発症には生活習慣などの環境要因だけでなく、遺伝的な要因も関わっていることが知られています。これまでに疾患感受性遺伝子を見つける代表的手法である「ゲノムワイド関連解析(GWAS)」を使って、80以上の2型糖尿病の「疾患感受性遺伝子領域」が発見されています。その多くは欧米人を対象に行われた解析によるものでした。しかし、2型糖尿病を引き起こす仕組みは人種によって異なると考えられており、事実、日本人以外を対象とした解析で見つかった遺伝子領域には、日本人の2型糖尿病との関連が見られないものも存在します。日本人における遺伝要因を解明するためには、日本人を対象としたGWASを行うことが必要です。

理研の研究者を中心とした共同研究チームは、約4万人という日本人2型糖尿病のGWASとしては最大規模の解析を行い、新たに同定された疾患感受性領域を別の約1万3千人の日本人集団を用いて検証しました。その結果、2型糖尿病疾患感受性と関連するこれまでに報告されていかった7つの遺伝子領域を同定しました。約22万人の外国人のゲノムを用いて、その7領域の関連を検証したところ、日本人集団で同定された7領域のうち5領域で外国人でも疾患感受性との関連が再現されました。

さらに、今回同定した7領域を含む90の疾患感受性遺伝子領域内の遺伝子について、様々な遺伝子情報データベースと照合したところ、既存の2型糖尿病治療薬に加え、他の病気の治療薬として開発された薬の中にも2型糖尿病の疾患感受性遺伝子領域をターゲットとしているものが複数ありました。この結果は、これらの薬が2型糖尿病の治療にも適応できる可能性があることを示しています。

本研究で新たに同定された7つの領域内の遺伝子については、その働きを詳細に解析することで、今後、2型糖尿病患者の個人の体質に合わせた治療法確立に貢献できる可能性があります。

理化学研究所
統合生命医科学研究センター 腎・代謝・内分泌疾患研究チーム
チームリーダー 前田 士郎 (まえだ しろう)
(琉球大学大学院医学研究科先進ゲノム検査医学講座 教授)
客員研究員 今村 美菜子 (いまむら みなこ)
(琉球大学大学院医学研究科先進ゲノム検査医学講座 准教授)