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2016年2月11日

理化学研究所

リアルタイムPCRを手軽にデザイン

-DNA定量や多型検出に最適な配列を解析するソフト「Edesign」-

Edesignによる設計からリアルタイムPCR実験までの図

Edesignによる設計からリアルタイムPCR実験まで

Edesignは、DNAを増やす試薬である「PCRプライマー」や、DNAを調べる試薬である「プローブ」に用いるDNA配列の設計を支援する。

DNAが持つ大きな特徴の一つは、「コピーを増やせる」ことです。細胞が分裂するとき、DNAを増やす酵素(DNAポリメラーゼ)がはたらいてDNAを正確に2倍に増やします。この酵素を取り出して、試験管の中でDNAを増やすことに成功したのが1956年。1985年には、酵素反応を連鎖的に進めることによりDNAを数時間で百万倍にも増やすPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法が開発されました。どちらもノーベル賞の対象となった、画期的な成果です。PCR法のおかげで、ごく微量の血液や髪の毛に付着した細胞から、あるいはミイラや化石に残された断片的なDNAからでも、DNAを分析可能な量にまで増やすことができるようになりました。

開発当初は「DNAを増やす」だけに用いられたPCR法ですが、その後さまざまな工夫により、「増やしながらDNA量を測る」や、「増やしながらDNA配列の違いを読み取る」応用法が登場しました。これが、リアルタイムPCR法です。DNAの定量分析や病原体の遺伝子決定、ヒト遺伝子多型(DNAの個人差)の解析を最短で30分程度で行えるため、生命科学の基礎研究だけではなく、診断など医療分野でも使われています。しかしリアルタイムPCR法は、普通のPCR法に比べて実験デザインが少々複雑です。DNAを増やすための条件と、DNAを調べるための条件を同時に考慮しながら、知りたい部分を含むDNA配列を決めなければならないからです。この作業を支援するコンピュータソフトも存在しますが、まだ十分な性能に達しているとは言えません。

今回研究チームは、リアルタイムPCR法の実験結果を左右するさまざまな要素を詳しく調べ、それを基に、リアルタイムPCR法を行う上で最適なDNA配列を見つけるアルゴリズムの開発を行いました。これにより、既存の設計ソフトと比べて、定量性や遺伝子多型の判定精度が向上した新しい配列設計ソフトウェア「Edesign(イーデザイン)」の開発に成功しました。

Edesignは、一般的なリアルタイムPCR実験でご利用できます。特に、理研の研究チームが2013年に開発したリアルタイムPCR用の試薬「Eprobe(イープローブ)®」と組み合わせて使用すると、より正確かつ高感度なDNA分析が可能になります。両者オススメです。

理化学研究所
ライフサイエンス技術基盤研究センター 機能性ゲノム解析部門 オミックス応用技術研究グループ 核酸診断技術開発ユニット
客員研究員 木村 恭将 (きむら やすまさ)
研究員 相馬 崇裕 (そうま たかひろ)
ユニットリーダー 臼井 健悟 (うすい けんご)

ライフサイエンス技術基盤研究センター 機能性ゲノム解析部門
客員研究員 マティアス・ハーバス (Matthias Harbers)