広報活動

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2016年8月5日

理化学研究所
大阪大学

非古典的HLA遺伝子の関節リウマチ発症への関与が明らかに

-HLA imputation法によりHLA-DOA遺伝子の発症リスクを同定-

HLA遺伝子と関節リウマチ発症の関わりの図

図 HLA遺伝子と関節リウマチ発症の関わり

関節の炎症や破壊を生じる疾患の関節リウマチは、国内に70~80万人の患者がいると推定されています。発症のピークは30~50歳代で、男女比は1:4と圧倒的に女性に多い病気です。多くの場合、腫れ、こわばり、痛みといった炎症が急速に進行し、全身の関節に広がっていきます。特に侵されやすいのは、手、膝、頸椎、股といった関節です。骨の破壊が進むと、関節の変形が起こります。

関節リウマチは“自己免疫疾患”の一つで、本来、細菌やウイルスなど体外から入った病原体を排除するために機能している免疫システムが、誤って自分の体に対して反応してしまうために発症します。発症原因には遺伝的背景が関与しており、大規模ゲノム解析を通してこれまでに多数の疾患感受性遺伝子が発見されています。特に、白血球の血液型を決めるHLA遺伝子が高い発症リスクを持つことが分かっていましたが、具体的にどのHLA遺伝子が重要なのかは解明が進んでいませんでした。なお、HLA遺伝子は複数存在し、古典的HLA遺伝子と非古典的HLA遺伝子に区別されます。古典的HLA遺伝子と比較して、非古典的HLA遺伝子は機能の解明が進んで居ませんでした。

今回、理研の科学者を中心とする総勢約30名の国際共同研究チームは、HLA遺伝子配列をスーパーコンピュータで網羅的に解析する「HLA imputation法」を活用することにより、日本人集団・アジア人集団・欧米人集団から集められた約6万人分の関節リウマチのゲノムデータに対するビッグデータ解析を行いました。その結果、非古典的HLA遺伝子の「HLA-DOA遺伝子」が発症に関わり、その発現量の変化が発症を引き起こしていることが分かりました。これまでは、古典的HLA遺伝子により作られるタンパク質のアミノ酸配列の変化が発症に関わることが分かっていました(図参照)。また、HLA-DOA遺伝子型における発症リスクを人種間で比べたところ、日本人集団で最も高いリスクが観測されました。

今後は、これまで研究が遅れていた非古典的HLA遺伝子の役割の解明が進むと考えられます。

理化学研究所
統合生命医科学研究センター 自己免疫疾患研究チーム
チームリーダー 山本 一彦 (やまもと かずひこ)

統合生命医科学研究センター 統計解析研究チーム
客員研究員 岡田 随象 (おかだ ゆきのり)
(大阪大学大学院医学系研究科 遺伝統計学 教授)